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メインステージ-ファースト②-

『皆さん、お見事ですっ!

 正解は、Bでしたっ!』

『ーおぉおおお~っ!』

「…そうだったんだ……。…今とは、大分違うんだね」

 改めて司会がそういうと、オーディエンスは沸き上がる。一方、イアンはまた呟いた。

『当時の時点で、ほとんどの大国が-18歳以上-に投票権があります。そして、現在では-スクール卒業時点-から投票可能になっております。

 これは、帝国エリアと共和国エリアをはじめとす連盟星系とで成人基準が違うので、連盟議会によってこのような形になったからです』

 司会は、短く解説をした。…いや、なかなか絶妙なラインだと思う。

『それでは、どんどん参りますっ!

 ークエスチョン:3』

 そして、次の問題が始まる。…お?

 司会はコールするが、エアウィンドウには何も映らなかった。…つまり、『スタイル』が変わるという事だ。

『まずは、こちらをお聞き下さいー』

 予想通り、司会はそんなアナウンスを流す。…直後、大勢のざわつきが聞こえて来た。

「…なんか、『質』が良くないですね」

「…もしかしてー」

『ー皆……っ、落ち……て…さいっ!』

 アイーシャの言うように、音質はかなり悪くメインの人の声も聞き取りづらかった。…まあ、状況はなんとなく予想出来た。


『今、…難救……隊がこち…に……ってー』

『ーこれは、ラバキアテレビ局が独自入手した-ロストチップ-に記録されていた音声データになります』

『ー!?』

「「…やっぱり……」」

「「「………」」」

 音声は途中で終わり、司会が『とんでもない』事実を告げた。当然、会場はさっきのデータみたくざわつく。…一方、俺やメンバー静かに驚愕していた。

『では、今音声の中の彼らは-どんな状況-に遭遇しているのか-詳細-にお答えください。またこのような時に適用される法律も併せてお答えください』

『……ー』

 司会が肝心の問題を出すと、他チームの代表は一斉に振り返りチームと相談を始める。当然、ヒューバートもやって来た。

「ーどう思います?…私は、『個人での脱出が困難は場所』での災害だと思います」

「なるほど。…皆さんは?」

 ヒューバートは真っ先に俺に聞きいて来た。勿論、自分の予想を出すのも忘れない。…まあ、こいつの予想はだいたい当たっているだろう。

「私も同じ意見です。…ただ、特定するには

 1つ大きな問題があります」

「…やっぱ、音質が最大の問題ですよね。…せめて環境音が分かればー」

「ー……」

 ランスター達は頭を抱えていた。…けれどエリゼ博士は、真剣な表情で思考する。

「…?」

「「「……?どうー」」」

「ーっ……」

 それに気付いたミリアムは、首を傾げる。するとメンバーも気付き確認しようとするが、俺は『クワイエット』のジェスチャーをした。多分彼女は記憶をサルベージしているから、集中させてやりたい。

「…っ……」

 それが伝わったのか、メンバーはじっと待つ事にした。…そしてー。

「ー…気のせいかもしれませんが、音声の後ろで『大きな警報』と『大きな物体が傾く音』が聞こえました。

 多分、彼らは『巨体な乗り物』の上に居る可能性があります」


「…っ!」

「…マジですか?」

「…えっと、前に見たヒストリーホロムービーで『そういうシーン』があったので、もしかしたらそうではないかと……」

 彼女の予想を聞いたランスターの2人は、ビックリしながら彼女を見る。…すると、当の本人は少し自信なさなげに返した。

「いや、多分聞き間違えではないでしょう。

 ーだって、『乗客』にアナウンスをしていた人は『ー何難救』と行っていましたから」

「…え?」

「…良く聞き取れましたね」

「…いや、そうでなくても『古代言語』を聞き取れるなんて……」

「流石です」

「どうも。…さて、そろそろヒューバートさんには解答を出して貰うとしましょう」

 俺が『当時の言語』でのアナウンスを口にすると、メンバーは驚愕する。…それはともかく、ヒューバートに『シメ』を振る。


「…っ!もしかして、『マリンレスキュー』の事じゃないですか?

 つまり、『状況』は海洋上での『マリントラブル』で適用されるルールは『アクアレスキューロウ』…って事ですね?」

『…っ』

「流石だ。貴方も、『古代言語』に明るかったのですね」

「…いや、オリバーさんには敵いませんよ。実際、貴方が聞き取れていなかったら答えは導き出せませんでした」

「どういたしまして」

『ーさあ、間も無くシンキングタイムが終わりますっ!』

 互いに称賛し合っていると、司会からアナウンスが流れた。…それを聞いて、『2つ』のチームが慌てる。

『おお?どうやら、ハンターチームとスチューデントチーム以外は結論が出たようですっ!…おっと、少し遅れて両チーム代表もスタンバイしましたっ!

 ーそれでは、アンサーをご記入下さいっ!』

 そして、シンキングタイム終了ギリギリで代表達が再度テーブルにスタンバイする。それを確認した司会は、記入を指示した。

『…おぉ、クイーンチームとベテランチーム。それから、ノヴァチームはスラスラと記入しています。

 一方、ギリギリまで悩んだ2チームはペン運びが遅いようです。…果たして、彼らは正解出来るのかっ!?』

 記入中、司会は代表達の動きを実況した。…さて、どうなるかな?


『ーそれでは、ペンを置いて下さいっ!』

 やがて記入タイムも終わり、司会の指示で全員ペンを所定の位置に戻した。

『さあ、皆さんのアンサーを一斉に見ていきましょうっ!オープンッ!』

 そして、司会は全員のアンサーをオープンするのだが…アンサーは『3パターン』あった。

『おぉっ!?まさか、3クエスチョンにして早くもアンサーがバラバラになりましたっ!

 まず、ヨウコ選手とレグー選手とヒューバート選手は状況を-海洋上でのマリントラブル-と判断し、法律を-アクアレスキューロウ-としましたっ!

 そして、エルド選手は状況を-高層ビルディングでのファイアートラブル-とし-ファイアーレスキューロウ-と判断っ!

 最後に、リプロ選手は-スペースエリアでのトラブル-と判断し-スペースレスキューロウ-と判断しましたっ!』

 司会は、3パターンの解答を読んだ。…どうやら、『ソロ脱出困難』という所だけは予想出来たようだ。

「それでは、答え合わせをしまょうっ!

 ーヨウコ選手、レグー選手、ヒューバート選手正解っ!」

「っ!」

 すると、思わずヒューバートはガッツポーズをした。…どうやら、少し不安だったようだ。

『お見事です。

 …いやぁ、不正解の2人も-ソロ脱出困難な状況-に気付いたのは良かったのですが、核心に迫るヒントは逃してしまったようです。

 ー例えば、恐慌状態の群衆の背後から聞こえる-トラブルの音-。あるいは、-古代言語のアナウンス-。これらを掴み取れていれば、結果は違ったのかも知れません』

『……』

 司会の言葉を聞いた2チームは、心底悔しそうにした。…おわ、割りとキツイ事言うな。


『さあ、それでは次に参りますっ!

 ークエスチョン:4』

 若干驚いていると、司会は纏う空気を戻しコールする。すると、例のギミックが稼働し…またしてもエアウィンドウに何も映らなかった。

『今からとある再現ムービーが流れますので、集中して見て下さい。

 ーそれでは、スタートッ!』

 そして、エアウィンドウで3カウントが行われた後ムービーが始まる。

『ー誰か~っ!ソイツを捕まえて~っ!』

 直後、女性が叫び声を出しながら周囲に人に告げる。…その指の先には、粗暴な男が居てその手には綺麗なハンドバッグが握られていた。

 ー恐らく、窃盗の再現ムービーといった所だろうか。…いや、『今』じゃ考えられないよな。

 俺は、街中で『あんな事』が起きていた事が信じらなかった。

『ーっ!待て~っ!』

 すると、周囲の人達は直ぐに男を追いかけ始めた。…やがて、女性のバッグを盗んだ男は周囲の人達に取り押さえられた。

『ーさて、ここからがクエスチョンです。

 この逮捕劇は、どのような名称でしょうか?』

 そこでムービーは終わり、司会は本題を口にした。…まあ、これは簡単だな。

『おぉ~、これは流石に簡単でしたか』

 予想通り、全員はスムーズにアンサーを記入していく。

『ーそれでは、オープンッ!』

 そして、全員のアンサーは一斉にオープンされた。当然、全員のアンサーは同じだった。

『さあ、それでは答え合わせですっ!

 ーお見事ですっ!正解は、-私人逮捕-でした』

 直後、全員にポイントが入る。…しかし、『古代』は逮捕もマンパワーだったんだな。そして街中に『パトロールドローン』もいなかった。

 まあ、裏を返せばそれだけ『平和』だという事だ。

 答えを聞きながら、俺はそんな事を考えた。

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