『さあ、続きを見て見ましょうっ!』
『ー…まあ、-強豪校-だから進路に選んだんだけどね』
『フフ、男の子ねぇ。まあ、お互い頑張ろう』
『うん』
『ー次は、-南街-~』
2人が決意し合っていると、車内アナウンスが流れた。すると、2人は降りる準備をする。
『ー南街~、南街~、お降りのお客様は足元ご注意下さい』
それから少しして、車内の振動は止まりドアが開いた。そして、2人は『トレイン』を降りて…そのままブラインドゾーンに消えて行った。
『ー…という事で正解は、①の-キョウゴウ-でしたっ!
さあ、いよいよこのセクションも残り少しとなりましたっ!ノヴァチーム、クイーンチーム、ベテランチームは今の所全クエスチョンクリア。
そして、ハンターチーム、スチューデントチームは激しい攻防を繰り広げておりますっ!
果たして、どんなエンドとなるのかっ!?』
司会がヒートアップする一方、セットは切り替わり…いかにもオフィスの『ダイニング』のようなセットが出てきた。
どうやら次は、『母親』のターンのようだ。
『さあ、セットのスタンバイが出来たので次へ参るとしましょうっ!
ー…それでは、-アクション-ッ!』
『ー娘が従弟と仲良く帰宅していた頃、商談を終えた母親は会社に戻り早めのディナーを食べようとしていました』
『ーあ、社長っ!お疲れ様ですっ!』
司会がコールすると、ナレーションが入り『母親』がダイニングのスタッフ(若手アクター)と会話を始める。
『貴方もお疲れ様。…そうねぇ、Bメニューでお願い』
『分かりましたっ!
ーBメニュー、お願いしますっ!』
『はーいっ!』
オーダーを受けたスタッフは、奥にある…であろうキッチンに向かってそれを伝える。すると奥から元気の良い『返事』が聞こえた。
多分、『レコードボイス』も若手のボイスアクターを起用しているのだろう。…なんとなくだが、そんな気がした。
『では、少々お待ち下さい』
『分かったわ…。……っ』
スタッフがそう言うと、母親は近くの空いている席に座る。…そして、ダイニングの様子を観察する。
現在、ダイニングには母親を含めた数人がディナーをしたりスタンバイしていた。…どうやら彼ら彼女らも、まだやるべき仕事が残っているようだ。
『ー…っ』
すると、母親に気付いたスタッフ達はペコリと頭を下げる。それに対し、母親はニコリと微笑んだ。
『ーあ、社長。お帰りなさい』
そんな中、母親に声を掛ける女性スタッフが…うん、『分かってた』。
女性スタッフを見た瞬間、俺は『やっぱり』と思った。…なにせ、彼女には見覚えがあったのだ。
ただし、テレビやホロムービーではなく…リアルで顔を合わせた事がある。
「ー…まさか、リンウェル先輩まで……」
「…ビックリ」
『ーウソ…』
そして、ランスターの2人もウチのチームの応援団も驚いていた。…つまり、彼女は女史のクルーと言うワケだ。
『ええ、ただいま。貴方も、今から?』
『はい。…ちょっと失礼します』
そんな空気の中、多分重役ポジションである彼女は先にオーダーを済ませるべくカウンターに向かった。
『ー…お隣、失礼します』
『どうぞ』
そして、数10秒でオーダーを済ませた重役は母親の隣に座った。
『…あ、そうだ。
ー今日はありがとうね』
それからさほど間を置かず、ふと母親は重役に心からのお礼を述べた。
『とんでもないです。…-彼女-が来るってきいて-あの人-も喜んでましたから。
今日は、朝から張り切ってましたよ』
『良かった。
…それにしても、彼大分-????-として成長してるみたいね』
すると、母親は身近な『誰か』の事を称賛するが…案の定肝心の部分は聞き取れなかった。
『ーさあ、ここでクエスチョンッ!
古代では、ハウスワーク担当の家族にとある名称を付けていました。
その-正式名称-をお答えくださいっ!』
『ー…っ』
司会が問題文を読み上げると、ナチラ選手とリアナ選手がメンバーとミーティングを始める。
『ーおやっ!ナチラ選手とリアナ選手の2人だけがミーティングに入ったっ!
それ以外の選手は、スムーズにアンサーを記入しているっ!』
「ー…本当、博士は頼りになりますね」
「流石です」
「…それより、『何』?」
「…うーん。…確か、『アレ』に使われていたような?」
その様子を見たヒューバートとミリアムは感心する。一方、ランスターの2人はアンサーについて考える。…そして、姉はとても良い情報を思い出した。
「…『アレ』って、『プレシャス』?」
「…ええ。…えっと、うーんと……。
ーっ!そうだ、『ヘビ』のエピソードの時に出て来たんだ」
姉は腕を組み記憶のサルベージを行い…遂に成功させた。
ーそう。『ヘビ』のエピソード…正式には『セサアシス編』に出て来た『とあるファミリー』のシーンで、『そのワード』が出て来たんだ。
「…もしかして、『あの人』の事?」
2人のやり取りを見ながらそんな事を考えていると、弟がこちらに聞いて来た。
「…正解です。
ーそれで、アイーシャさん。『ワード』は?」
「……ー」
『ーああっ!なんと2人共、シンキングタイムを使いきってしまいましたっ!…なので、強制的にテーブルに戻って頂きます』
姉が肝心のアンサーを口にするのと同時に、シンキングタイムは終わった。…しかし、ナチラ選手とリアナ選手はアンサーを出せなかったようで、頭を抱えながらテーブルに戻り自信なさげにアンサーを記入していく。
『ーさあ、それでは…スムーズにアンサーを記入していた、エリゼ選手達のアンサーからオープンッ!』
それから少しして、残りの2人もアンサーの記入を終えた。…すると司会は、時折やる変化球的なオープンを始める。
「「ー…っ」」
当然、ナチラ選手とリアナ選手はより一層緊張する。…なんか、たまーに『S』のスイッチが入るよな。
『ーおぉっ!3人共、-センギョウシュフ-で一致していますっ!』
俺が引いている事など知らない司会は、3人のアンサーが一致している事に興奮していた。…というか、多分手元で確認出来るようになってんだよな?…なんつーか、フェイスが厚いな。
「ー…っ!」
そんな事を考えていると、残りの2人は両極端なリアクションをした。
ー『片方』は凄くホッとした表情を浮かべ、もう『片方』は…ガックリと項垂れた。…ああ、そうか。
『…おや?残る2人は別々のリアクションを見せているようですが…?
そんな2人のアンサーをオープンしてみましょうっ!』
『ーおお~っ!』
『あぁあああ~…』
そして、遂に2人のアンサーはオープンされ…両チームの応援団も一方は歓喜し、もう一方は酷く落胆した。
『おっとっ!ナチラ選手だけが、他3チームと-同じ-ですっ!…そして、リアナ選手は-ハウスワイフ-と解答っ!
ー果たして?』
ーそう。『敗北』を悟ったのは、学生チームのほうだったのだ。…そして、無情にも進行は続けられる。
『ー正解は、-センギョウシュフ-ですっ!』
その後、アンサーは発表され学生チーム以外が正解となった。
『さあ、それでは続きを見ましょうっ!』
『ー…しかし、まさか彼が会社を辞めて-専業主夫-になるなんてね。
てっきり、貴女が家庭に入ると思っていたんだけど』
学生チームとその応援団の空気に構う事なく、母親と重役は会話を再開しる。…流石、プロだな。
『まあ、私が-仕事を続けたい-と言ったのが決め手になったようです。…本当、感謝しています』
『そうー』
『ーBランチ2つ、出来ました~っ!』
2人がそんな話をしていると、カウンターから声が聞こえた。
『じゃあ、行きましょう』
『はい』
そして、2人は席を立ちカウンターへと向かうのだったー。
『ー…と、このように男性でも-センギョウシュフ-を名乗る事が出来たのです』
『……っ』
そのまま2人がフェードアウトし、シーンは終わる。すると司会は、ちょっとした解説をした。…それを聞いた学生チームは、とてつもなく暗い空気になる。
「ー…『シュフ』って、女性だけのワードじゃないんだ」
「ええ。
実は、古代では既に男女平等が当たり前になっていましたたから。
男性がやるイメージの強いジョブを女性がやったり、逆に女性のイメージが強いジョブを男性がやったりと。
それは、ハウスという小さな空間でも同じです。…-ハウスワイフ-と言われるように、ハウスワークは女性がやるイメージが強かったですが男性も時代が進むにつれてサポートするようになり、やがて男性がハウスワークをやるようになって行きました」
「…へぇ~」
「…本当、詳しいですね」
「「……」」
俺が解説を語ると、メンバーは尊敬の目を向けて来た。