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第42話 扉だけがある

 自分でもわかってる

 どうしようもないって

 自分だけ気づいてる

 こんなにも情けない


 自分だけでもいい

 最後の最後で思いとどまれ

 潔さを求めるよりも

 泥まみれで生き抜くがいい


 気分なら最悪

 でも生きているなら

 勝ったも同然

 ていうかそもそも

 勝負でしたっけ


 ぱらぱらぱらー

 めくる数枚に

 おれのすべてが評価されてる

 風に飛ばされてもいいよ

 なのに奪われることもなく

 しわくちゃになっていくだけ


 ごきげんだろう

 ごきげんなんだ

 自分で自分をよしよしヾ(・ω・`)しなよ

 世界で孤立してしまうまえに


 ごきげんとるよ

 ごきげんてなに

 答が欲しけりゃ

 ページをめくれ

 理解したいなら

 もがいてみなよ


 あんなに苦しくて

 へたっていたのに

 気づけば平気で走っているし

 走りながら笑ってる



 階段とんとんとんって駆け登ると

 見逃してしまうかも

 頂上に着いてからでは見れない

 踊り場からの眺め

 微妙な角度で

 覗き込める岩づたいの深淵

 あんなに不思議でしかたなかった

 それが今では自然になってる


 つべこべいわずに

 ごきげんとれよ

 自分で自分をよしよしすれば

 ちゃんと伝わる言葉がなにか

 発見できる

 ほら

 背表紙だけが伝えてくれる

 謎の在りかと

 知恵ゆえの解きかた


 息きらして見た寒い夜の

 海は暗く油も飲み干し

 空は深く底を思わせて

 町は遠くよそ者じみて

 おれをおれだと理解させる


 おれがおれだと理解できれば

 誰かの誤解も納得できるさ

 同じ惑星でも

 宇宙が違うから


 同じ銀河に

 ばらける扉

 どうして誰も立ち止まらないんだろうね

 そこにあるのに

 ここにあるのに

 目の前に壁は高くそびえているけど

 鍵穴ちゃんと手が届く高さだ

 誰かを拒む様子はないよ

 ひとを選ぶ気配もなく

 扉だけがある



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