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第191話 喧嘩上等

俺は創作でぶん殴る。

創作に関してだけ、俺は喧嘩上等だと思う。


俺はまだ何者にもなれていない。

創作をしているけれど認められたわけじゃない。

あっちこっちに創作物をあげているけれど、

まだまだパッとしない。

手数が足りないんだなと思う。

とにかく俺にできるのは手数を増やすことだ。

創作物をたくさん放ってぶん殴る。

創作物は俺の拳から繰り出す一撃だ。

その一撃が効かないのならば、

その一撃のフォームがよくないのかもしれない。

フォームをどうこうするのも必要かもしれないけれど、

とにかく殴り続けることだ。

そのうち創作物で殴る形ができてくる。

俺はとにかく創作物の手数を増やす。

殴れ殴れ。


創作物が上がっているサイトで、

また、あいつが創作物をアップしていた。

あいかわらず次を繰り出すスピードが速い。

しかも、その創作物の一撃が確かだ。

確かにぶん殴れる一撃になっている。

多分あいつは、創作物で殴るフォームを見つけている。

俺もその一撃に唸るばかりでいられない。

俺の一撃をクリーンヒットさせたい。

創作物でぶん殴って唸らせたい。


これは、あいつだとか、他の創作する奴らを、

貶めてどうこうするってわけじゃない。

創作物に悪評を入れることは、創作物で殴ることじゃない。

創作物で殴るってのは、

あくまで創作の一撃がすごいかどうかだ。

創作物で喧嘩するってのは、

その一撃の応酬のしあいだ。

下手に避けることもなく、

相手を貶めるという逃げを打つこともなく、

創作に防御という概念はない。

ただただ、創作物で殴る。

自分の創作物はこれだけすごい。

そのすごいものをどんどん繰り出すことができる。

その手数と一撃のすごさで勝負するしかない。

創作物の喧嘩は、ガード無しの殴り合いだ。


俺はまだ何者にもなれていない。

創作物の手数は増えてきたけれど、

まだまだフォームがおぼつかない。

あいつも手数は多い。

これはと思う一撃もある。

しかし、食らってばかりはいられない。

あいつを創作物でぶん殴って、

さらに創作物に触れるものみんな俺の創作物でぶん殴って、

俺の一撃を認めさせたい。

俺はすごいんだと認めさせたい。

創作するってのは喧嘩だ。

喧嘩で成り上がっていくんだ。


多分、小説を書く連中も、

漫画を描く連中も、

音楽を作ったり歌ったりする連中も、

動画を作る連中も、

俺が思いつかないだけで、いろいろな創作物を作るすべての連中が、

それらの創作物でぶん殴っているんだろうなと思う。

それぞれの場所で創作物で殴り合う喧嘩が起きている。

世の中平和と言われるかもしれないけれど、

創作をしている全ての連中は、

創作物という一撃を持っていて、

その一撃をいくつも繰り出して相手を唸らせようとしている。

ボコボコにぶん殴って、

ここに生きているんだと吠えようとしている。

どの創作をしていても、

平和ってことはないと思う。

みんな相手を創作物でぶん殴ろうとしている。

創作物でぶん殴ることは生きること。

本気で殴り合っているとき、

創作で生きていると感じられるんだ。


俺は創作物を作る作業に戻る。

あいつは新作をアップして、

かなりの一撃を繰り出してきた。

俺だって負けていられない。

何者でもないかもしれないけれど、

俺はここに生きていて創作物でぶん殴っている。

俺は生きている。

創作物でぶん殴るのは、

俺が生きている証。

創作物に俺の生きてきた重さも込めて、

また、俺は創作物を作り出す。


創作物を繰り出すとき、

これ以上ない一撃だといつも信じている。

今もこれ以上ない一撃だと信じている。

俺は俺の創作物を信じている。

この創作物で誰もが唸ると信じている。

次も、その次も、

俺は一撃を繰り出し続ける。

喧嘩上等。

まだまだ俺は倒れない。

まだ殴れる。

どれだけ殴られても、どれだけダメージを受けても、

俺は倒れる気はないんだ。

ぶん殴ってぶん殴って、

ぶん殴り続ける。


いつか天下を取ってやる。

何者でもない俺は、

創作物でぶん殴りながら、

てっぺんを目指す。

待ってろてっぺん。

俺はそこに絶対行くからな。


俺は創作物を作る。

俺は創作物で喧嘩する。

俺は創作物で高みを目指す。

それが俺の生きるってことだ。

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