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第52話 ここからは私たちのステージよ!

 動画を見終えた藤上さんは


「私、何もここまでしろなんて言ってない……」


 なんというか、血走った目がフツーになってて。

 なんというか、顔色が悪いというか……


 ガタガタ震えてて


「復讐は何も生まない……生まない……」


 そんなことを震える声で。

 言いながら、キラキラとした輝きに変じて……


 ……アビの胸から、消えて行った。


 良かった……

 満足してくれたんだ……!


 憎いケダモノに思い知らせてやったんだものね……

 天野先輩たち、ありがとうございます!


 全部お任せしたのに、最高のタイミングで一番必要なことをやってくれた。

 感謝するしか無い。


 私たちは安堵した。


 そこに


「ちょっと待てぇぇぇっ!」


 アビの叫び。


 アビは顔面蒼白にさせて


「お前ら正義の味方様じゃ無かったのか!?」


 唾を飛ばす勢いで泡を食いながら

 そんな意味不明のことを言ってくる。


 その問いに私たちは、声を揃えて


「そうだけど?」


 そう、答えた。

 私たちは人間を護る六道プリンセスだよ。

 当たり前じゃない。


 ホントに何をワケの分からないことを。


 すると


「正義の味方が人間に手を出していいのかー!?」


 ……はぁ?

 アンタ何を言ってんの?


 動画、キチンと見たんだよね?


「私たちは手を出して無いよ? 手を出したのは腕力家様で、腕力家様は法律の外にいる人だよ?」


 私はアビの目を見て堂々と言い放つ。

 私のそんな言葉にアビは


「そんなん欺瞞だろ!」


 そう、言いがかりをつけてきた。

 何が欺瞞よ。失礼な。


 ムカついてくるよ。

 すると


「いいえ、違うわ。人間をヒーローが裁くのは違うけど、人間が人間を裁くのはアリなのよ」


 堂々と。

 国生さんが言ってくれる。

 すっくと立って、自信満々に。


 さっすが国生さん!


 ヒーローは変身しているときはヒーローだけど、変身を解けばただの人。

 だからその状態なら悪党をブチのめして永久障害負わせてワカらせても全く何も問題ない。


 当たり前のことだよね。


 だけどアビは納得いかないようで


「そんな馬鹿な!」


 しつこく、騒ぐ。

 ……ため息が出る。


「馬鹿はアンタよ!」


 分かんないヤツね!

 ヒーローというものを幼稚園からやり直して!


 その残念な認識、全て改める必要があるよ!


 ……まあ、それはこの場を生き残ることが出来たらだけどね!

 さっきまで私たち相手に、暴の限りを尽くしてくれたこと、忘れてないから!


 さぁ、覚悟して!

 あなたの罪の数を数えるのッ!


 その思いを闘気に変え。

 私はその闘気を全身に巡らせて、拳を構え。


 アビに向かって言い放った。

 ヒーローとしての言葉を。


「こっからは私のステージよ!」

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