「はわわ~、こ、怖かったです~」
ポチは服の袖(萌え袖である)で涙をぬぐう。
「まぁ、ラストで貞子が便器から出てくるシーンはちょっと怖かったかも」
「ふぇえ~。思い出させないでくださいよ~」
涙目でポカポカされた。
「おーよしよし怖かったね。もう怖くないよ」
頭を撫でてやったら、幼児みたいに抱きつかれた。
「あら、ずいぶんと懐かれたのね」
いつの間にか、ドアの横にアイリさんが立っていた。腕組みをして、苦笑いにも似た表情を浮かべていた。
「アイリさん」
「今日これから、注射を打つの忘れてないわよね」
「あ、はい。今行きます」
アイリさんは『先行ってるわ』と後ろ姿で軽く手を振りながら、部屋を出て行った。