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第2章 第5話 狂気なる平穏⑧

「はわわ~、こ、怖かったです~」

 ポチは服の袖(萌え袖である)で涙をぬぐう。

「まぁ、ラストで貞子が便器から出てくるシーンはちょっと怖かったかも」


「ふぇえ~。思い出させないでくださいよ~」

 涙目でポカポカされた。

「おーよしよし怖かったね。もう怖くないよ」

 頭を撫でてやったら、幼児みたいに抱きつかれた。





「あら、ずいぶんと懐かれたのね」

 いつの間にか、ドアの横にアイリさんが立っていた。腕組みをして、苦笑いにも似た表情を浮かべていた。


「アイリさん」

「今日これから、注射を打つの忘れてないわよね」

「あ、はい。今行きます」


 アイリさんは『先行ってるわ』と後ろ姿で軽く手を振りながら、部屋を出て行った。


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