目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

陶侃1  謝尚さん推し量る

陶侃とうかんさんの病が重くなり、

遂には危篤状態に。


しかし陶侃さん、

自分がいなくなった後の

国家の大事に関わることについては

何も語っていなかった。


このことをひとびとは

残念に思っていたのだが、

その話を聞いた謝尚しゃしょうがコメントする。


豎刁じゅちょうがいない、なら彼から殊更に

 何かを言うこともない。

 そう言う事だったのではないかな。


 わかるかね? 豎刁だよ。

 春秋の昔、かの名君である桓公かんこうが、

 管仲かんちゅうから、遺言で「やめておけ」と

 言われたのにもかかわらず、

 管仲の後継として宰相の地位につけた。


 それによって、結局桓公は

 身を滅ぼしたではないか」


世論は謝尚さんの

このコメントに感心した。




陶公疾篤,都無獻替之言,朝士以為恨。仁祖聞之曰:「時無豎刁,故不貽陶公話言。」時賢以為德音。


陶公の疾の篤きに、都べて獻替の言無かりせば、朝士は以て恨みを為す。仁祖は之を聞きて曰く:「時に豎刁無し、故にこそ陶公は話言を貽さず」と。時賢は、以て德音と為す。


(言語47)




この話、陶侃さんが統括してた官庁の後継人事的な話だと認識してたんですけど、「獻替」って言葉が来ちゃう以上、ちょっとその解釈は難しそうだなーと感じました。「賢きを立て、賢からざるを退ける」が「替」の字。それを「献」じる。陶侃さんはその遺書に「位人臣を極めた」とも書いており、その陶侃さんが何かを「献」じる相手なんて言ったら、皇帝以外にはいないわけで。


ただし、上記遺書には「これ以上自分が陛下を補佐できないのが悔しいのです、どうか自分の代わりになる人物を見出し、助けとして下さい」とは書いていたそうなので、謝尚さんのコメントはカッコイイけど的は外してました。残念!

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?