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第50話 出発だ


 武器や自身の能力を上げた、ショーン達は、次なる任務に向かうため、装甲トラックに向かう。



「分かった、済まないな? 武器を強化して貰って…………」


「いや、昨日の事があったからね?」


「そうさ、気にするなっ!」


 ショーンは、沢山の武器を強化して貰い、サーラとギドロ達に感謝する。



「ギドロ、サーラ? 見張り台を作るぞ? ショーン達も居たか? 物資の積み込みは終わったぞ、注文の品である、武器や弾薬は箱の中に入ってあるからな」


 作業場に、ゴルバが現れると、彼は周りに立っている面々を見渡す。



「ん? 何をやっとるんだ?」


「店長、自分用に買った改造部品で、武器を強化してたんです」


「まあ、彼等には世話に成りましたし」


 怪訝な雰囲気で、ゴルバが呟くと、ギドロとサーラ達は作業を報告した。



「まあ、それなら構わないだろう? 食糧も届けて貰ったしな」


 二人の報告を聞いて、ゴルバは納得したらしく、両腕を組んで、静かにうなづいた。



「それから、新型ゾンビの出現が報告されているな? 怒鳴るって、意味のエングラーと言う女ゾンビと? 後は、ボンバーと言う名前の自爆ゾンビだっ! それに、周辺をファットゲローも彷徨うろついているらしい? ショーン、マルルン、お前らも気をつけろよ」


 新しいタイプのゾンビが出現したと言っているが、ショーン達は既に知っていた。



「エングラー? 昨日の叫ぶ奴か? 他のゾンビを興奮させたり、警報器みたいに呼ぶ、ヤバイ敵だな」


「ボンバーは、自爆するゾンビね? 遠距離にからの銃や魔法による射撃が効きにくい奴ね? ファットゲローは、デブで巨漢のゾンビね…………」


「昨日、オートマグナムで射ちまくっても、かなり渋かった敵か?」


「私の雷撃魔法に突っ込んだら、一撃で死んだけど、アレは頭に雷が偶然直撃したから、倒れたんでしょうね?」


 チンピラ達に暴行された女性が、エングラー化したのを思い出して、ショーンは顔を険しくさせる。


 きっと、ウイルスに加えて、恨みや怒りにより、彼女はゾンビ化したのだろうと、彼は考えた。



 リズは、特攻を仕掛けてきて、自爆するゾンビを見た時の恐怖が思い出されて、身震いした。


 また、巨大なデブゾンビが、強酸や血液を吐きながら遠距離攻撃してきた事も頭に浮かんだ。



 ギドロは、自身の放った弾丸が、中々射殺できなかったと重苦しい口調で語る。


 同じく、サーラも自分が倒せたのは運が良かっただけかと考察する。



「あーー? 昨日の戦いは知らんが、ボンバーは肉片に体を守られているため、確かに射撃などを耐えながら突っ込んできて、いきなり自爆するらしいな? エングラーは、怒鳴るだけでなく、引っ掻き攻撃をする場合もあるから注意する必要がある」


「次々と、新たな敵ゾンビが登場しているな? まさか、パンデミックの中で進化しているのか?」


「どうやら、そう見たいね? これからも変わった奴が出て来ないと、いいんだけど…………」


 新種のゾンビに関して、ゴルバは出会った時は、警戒するように話した。


 彼の言葉を聞いて、ショーンとリズ達は、どんどん進化していく、敵を恐れて顔を青くさせる。



「まあ、悩んでいても仕方がないっ! ゴルバ、サーラ、ギドロ…………世話に成ったなっ! 俺達は出発するっ! また、何かあったら無線で呼んでくれな」


「武器の改造、すごく助かったわっ! ありがとうっ!」


「分かった、その時は、また使いまくってやるからなっ!!」


「また、何時でも来いっ! そしたら、また武器を強化してやるからなっ!」


「ええ、何時でも歓迎するわ、この要塞武器屋でねっ!」


 ショーンとリズ達は、別れを告げて、作業部屋から出ていくと、ゴルバは彼の後ろ姿を見送った。


 そして、ギドロとサーラ達も、声をかけながら出発していく彼等を見ていた。



「さて、いよいよ、出発するぞっ! 出してくれっ!」


「あいよっ! 今日も、私の運転だからねっ!」


 ショーンが頼むと、カーニャは装甲トラックを、エンジンを吹かせて、勢いよく発進させる。


 その荷台内部では、所狭しと、木箱や段ボール箱などが積み込まれていた。



「しかし、もう一台、装甲トラックが見つかるとはな? 軍隊は、ゾンビの鎮圧に失敗したのだろうか? 俺より腕のいい狙撃手は存在しなかったのか…………」


「ワシントン? どうなのかにゃ? 私も他所から来たから、ここの軍隊を知らないけど、軍はゾンビに負けたんじゃないかにゃ?」


「ああーー? それは、あり得るな? ショーン、昨日は警官ゾンビと戦ったよな」


「あったな、奴の拳銃は、めちゃくちゃに乱射していたから当たらなかったが、アレも中々の驚異だった」


 簡単に、軍用車両を手に入る現状を、ワシントンとミー達は、不自然だと語り合う。


 一方、スバスとショーン達も、ゾンビ化した警官がピストルを発砲していた事を思い出す。



「ショーン、海トカゲ団も、ジープ見たいなのに乗ってたわね? アレは盗んだ物かしら?」


「まあな、連中は傭兵部隊なみに武装していたから、元から保有していても可笑しくはない…………それに、軍や警察から装備を滷獲している事もあり得るな」


「二人とも、着いたよ? 車を乗り換えるよ?」


「どうやら、もうバリケードは出来ていたらしいな?」


 リズとショーン達は、海トカゲ団員のライルズとスザンナ達が乗りっていた、コンボイを思い出す。


 そうしていると、カーニャとテアン達が、目的地に着いたと知らせてくれた。



「おい? 武器運搬しているチームだな、話しは聞いていると思うが、建築現場に行ってくれ」


「分かったよ、すぐに降りるわっ! みんな、グズグズしてられないよっ!」


 装甲トラックが停車すると、軽鎧を着ている、オークが話しかけてきた。


 カーニャは、そう言いながら、運転席からドアを開けて飛び降りた。



「俺たちが作った、バリケードも材料に使われているな?」


「金網に車輪を着けてるわ? これなら、トラックも直ぐに通れる」


「上には、警備員か? 見張りも万全だねぇ」


「にゃ、ここから東に行けば、建設現場だにゃっ? きっと、チンピラやゾンビ達が…………」


 後部ドアから降りて、別の装甲トラックに乗る前に、ショーンは辺りを見渡す。


 同様に、スライド式の入口を見て、リズも呟きながら歩いていく。



 フリンカは、赤い屋根の上で、ライフルや警棒を握る、トロールや女性冒険者を眺める。


 遠く金網の向こうを見つめながら、ミーは敵地に存在するであろう危険を想像してしまう。



「いいから、早く乗った、乗った」


「グズついてる暇は無いぞ?」


 カーニャとテアン達は、装甲トラックの運転席から、まだ乗っていない仲間たちを叱る。



「悪い、もう乗ったから出してくれっ!」


「それじゃ、出すよっ!」


 後部ドアを閉めて、ショーンが頼むと、カーニャは装甲トラックを走らせた。


 そして、熊人の冒険者に、金網フェンスが移動させられると、車両は向こう側へと進んでいく。



「おっ! 早速、ゾンビが出たねっ! 喰らえっ!」


「ギャッ!?」


「おい、おい、荒っぽい運転はしないでくれよっ?」


「グオオオオッ! グアッ!」


 カーニャが運転する装甲トラックの前に現れた、ゾンビは跳ねられてしまう。


 テアンが注意する中、ウォーリアーが走ってきたが、やはり引き殺されてしまう。



「ああ? でも、ここから暫くは、耐えて貰うよっ! だって、止まったら、ゾンビに襲われちまうからねっ!」


「うぅぅ? 小柄な俺の体は、揺れに耐えられないっ!」


「小柄じゃなくても、揺れはキツイぞっ! これじゃ戦いの時に、俺のウニ鉄球を振り回せない…………」


 言い訳しながら、カーニャは女トラック野郎として、猛スピードで、装甲トラックを走らせ続ける。


 この振動で、マルルンは気持ち悪くなり、スバスも苦しそうな表情を見せる。



「ウニ鉄球?」


「あ、ウニ見たいな感じがするだろ? サイード爺さんに改造して、釘を溶接して貰ってからな? みんなの武器も、強化した時に名前が付けられたから、俺のも自分で名付けたんだよ」


 ショーンは、疑問に思った事を呟くと、スバスは命名した理由を語りだす。



「なるほどな? しかし、まだまだ、この揺れは続きそうだ…………うぅ」


「だねぇ~~? だけど、これを耐えられなきゃ、船上警備は務まらないよっ!」


 ショーンは、朝食べた料理が、腹の中で揺れて、口から出そうになるが何とか耐えた。


 対する、フリンカは平然とした態度で、座席に座りながら眼をつむっていた。

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