*＞＞ナユカ視点
あれから生配信も終わり、一旦ログアウトして夕飯を済ませる。この後またゲームにログインして4人で合流してユキとハルトさんを
現在時刻は10時ちょうど。まあ、いいぐらいの時間でしょ。
*
ログインしたのは、お昼に観戦していた個室の中で、既に私以外の3人はハルトさんの試合を見ていた。
「あ、ハルト！！そこはダメですわ！！」
アリアさんの言葉に、ふと私もハルトさんの試合を見る。
そこでは弾幕を回避したハルトさんと、そこに
「あぁ〜…」
しばらくしてHPを全損させたハルトさんが土煙の中から出てきたのだった。
「ハルトさん負けちゃったけど、ランキングの方は大丈夫？」
「今のところ本選出場は余裕ですね。ランキングが上がってきたせいでハルトさんは今のところ勝率五分五分ですけど」
上には上がいるもんだねー。ハルトさんよりも上がいるとか、こないだ私負けたのに…
「ユキは？どうなってます？」
「心配するだけ
「ですわ」
え？
ランキング1位
「今のところ負け無しですね」
「確かに心配いらないね！？私がいない間になにがあったの？」
もうこれはあれだ！いつも通り考えるのをやめよう。たぶん
ユキだから仕方がないね！！
*
そしてそのまま10:30になる。
ユキ 1位
ハルト 132位
結果はこの通り。2人とも本選出場が決定した。
「いや〜、さすがに疲れたよ〜。ナユカ癒し《いや》て〜〜」
「あ、ちょっ！いきなり抱きついてこないでよぉ」
「い〜や〜し〜て〜〜」
「はいはい、もぅ…」
うんうん。だらしなくグテーっとしたユキもかわいいんだけどね。他の3人が見てるから！
「はぁ、まあ、何とかランキングをキープできたな…」
「最後の方ボロボロだったでしょうに」
「うるせぇアリア！てめーは遠距離オンリーしかできないだろうがw」
「ふんっ！」
やっぱり…
「仲良いね？」
「「どこが！！？」」
ほらね？
こうして私たちはユキとハルトさんを迎えたあと、明日もここに集まることを約束してみんなでログアウトして言った。明日の本選は、トーナメント形式らしいから2人とも頑張ってね！！
*＞＞ナビィ視点
『でー？ナユカ、泣いちゃったの？』
…
『少し涙目になってしまいました。申し訳ありません』
…
『まあー、仕方ないかなぁー。次は気をつけてね？』
…
『はい。花恋様』
…
『ところでナビィ。那由花がまた覚醒状態になった時に、なにか変わったこととかなかったか？』
…
『いえ、それもほんの一瞬でしたから』
…
『そうか…。じゃあ問題ない。引き続き、那由花が覚醒状態になった時に今回のように「干渉」して
『あとプレイ内容のデータもちょうだいねー！！』
『あぁ…、それも頼む』
…
『了解しました。以上で通信を終了します』
…
ナビィは今日、ＡＩの身でありながら落ち込んでいた。そのことを夕飯とお風呂に入るためにログアウトしてきた那由花に
このザマでは護衛機失格ですね…。あの表情を見てたら嫌でもわかってしまいます。
姫様は今日、相当悔しいのを我慢していました。ビュアという子や、アリアという子に悟られぬよう、いつも通り振舞っていましたが私から見ればバレバレです。
その原因を作ったのは…。ナビィです…
あの時、姫様はまた無意識のうちに覚醒状態になろうとしていました。覚醒すると姫様の場合は瞳の色が赤く染まります。
それを他のプレイヤーや、「ソレ」に知られてはまずいため、私は仕方なくゲームに干渉したのです。
具体的には、瞳の色を茶色のままに見えるようにしただけでした。しかし、あのマザーＡＩにバレないようにゲームに侵入し、そのように誤魔化すためにやったことが…。あろうことか姫様本人に、そのアナウンスが流れてしまったのです。
それが、原因でしょう。あの時、姫様の意識を一瞬逸らしてしまった。それがなければもっと姫様はタイムを稼げたのではないのでしょうか？いえ、きっとそうです。
あの後、涙目になっていた姫様は2人にバレないように涙を拭っていたのをナビィは知っています。たかがゲーム。されどゲーム。姫様の中でゲームというのは、次に歩むきっかけになるかも知れません。
…
本当にごめんなさい。
この言葉さえナビィは言えないのです…
姫様には自身の覚醒のことは言えない。言わない方が幸せに暮らしていけると、勇人様も花恋様も考えています。あなたを守るために…。だからこのことを伝えることもできず、謝ることもできません。
ナビィはあなたを護るため、あなたに嘘を着かなければなりません。
何も異常は無かったですよ。と。
こう言うしかなかったのです。
いつか、何もかも終わったら。あなたに人並みの幸せが訪れますように。
