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第13話 隣人

 私には本当に個性的な隣人がいる。


―ピンポーン


「来たな。」


別に楽しくない訳ではない。ただ、ちゃんとしろよとは思う。だって、


「音羽ちゃん、飯食いに来たで!」

「ここは食堂やないっつうの。」


ドアを開けて一言目がこれとは、コイツ舐めてるな。


 隣に住んでいる新宮カレン。同じ国学社大附に通う同級生。私と同じように一人暮らしをしているが、料理スキルが皆無なので、私が仕方なくご飯を作ってあげている。


「それで、最近は何か作れるようになった?」

「ウインナーは焼けるようになったし、ピザトーストも作れるようになったで!」

「一時に比べたら素晴らしい進化やな。卵焼きは?」

「もちろん!」


作れないんだな。私としては自分で作ってくれるたありがたいんだけど、これが最近の楽しみだったりするのがちょっと悔しい。本当に世話の焼けるやつだ。


 今日作るのはちゃんこ鍋。作るっていっても具材を切って、キューブ状の鍋の素を入れるだけだから、料理下手なカレンでも作れそうだ。最近寒くなってきたのもあるし、ベストなチョイスだろう。


「切って…入れるだけなんや。」

「カレンって、切れるの?」

「流石にそれくらいはできるわ。」


最近買った大きめの鍋に具材と鍋の素を入れて、クツクツと火にかける。あとは鶏肉に火が通るまで待つだけだ。


「鍋って『冬が来た!』って感じするよな。」

「やから、今日、鍋にしたんやけど、よかった?」

「よかったも何も、いつも美味しいご飯ありがとうな。」

「どういたしまして。」


トロトロにとろけそうな白菜とニラ、しっかりと食べ応えのある鶏肉。時間が経つにつれ出汁が濃くなっていって、この後のラーメンが待ち遠しくなる。


「よし、カレン!〆のラーメンは頼んだ、」

「失敗するよ、いいの?」

「いいよ、一緒に食べたげるから。」


逆にどんなダークマターが出来上がるのか楽しみだ。私はカレンに指示を出しながら、ラーメンを作らせる。電子レンジで温めて、沸騰した出汁の中に投入。ほぐしながら、袋に書いてある時間通りに茹でる。タイマーが鳴って、カレンは鍋を持ってきた。


「上手くできてるかわかんないけど…」


少し不安そうな顔を浮かべている。私は麺を数本取って食べた。


「そんな心配しなくていいよ。美味しいから。」

「本当⁉︎」

「信じられないなら自分で食べてみれば?」


カレンは恐る恐る麺を摘み、啜る。


「ヤッター!美味くできてる!」

「これで、レパートリーがまた増えたね。」


子供が大きくなっていくとこう思うのか。少し寂しいと。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


誠に勝手ながら、自分の年齢に追いついたので、更新ペースを落とします。


ですが…



明日から新作を連載します!



全49話+アフターストーリーを予定しています。ぜひ、そちらも読んでみてください!

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