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第6章:師匠を追って

第1話:旅の仲間、増える

 暗黒界から帰って来た本日一日目は休暇日であった。


 昨日は『ゲルハート』の誕生日と、第三王子の誕生祭を合わせて祝ったところである。


 季節は夏に入っていた。


 八月、獅子の月である。


 師匠を追う旅ももう直ぐ終わりかと思われたが、まだ工程的には二週ほど残っているのでまだ何が起こるか分からなかった。


 山場は越えたと思っていたのである。


 朝食を久しぶりに着替えて、ドレスではないがしっかり目の服に着替えモンドレストランに行った。


 朝からガッツリとという人は少ないらしく席に人はまばらで、悪目立ちではないが私たちと『アルカナ』と『ティナ』は少し目立っていた。


 私の側に給仕が付いたままであったため、さらに目立ったという話もあるがそんな感じだった。


 朝食後部屋に戻るでもなく、私たちは初めて二階にある歓談室を訪れていた。


 そこに『アルカナ』と『ティナ』がやって来た。


 貴族式の挨拶を『ティナ』が行ったので、その返事に私も貴族式の挨拶を返した。


「二人はどんな旅をしているの?」と『セリア』が聞いた。


 『アルカナ』が「実は物見遊山というか、修行の旅なんだ」と答える。


 『ティナ』はフレイニアの西にある、ジラート連合王国の貴族の子女だという。


 色々なものを見て、経験を付けたくてそれなりに長い旅をしてきたらしい。


「『ウィオラ』殿たちは旅の目標がおありですか?」と『アルカナ』が聞いてきた。


「実は師匠を追って旅をしている最中なのです」と正直に答えた。


「居場所は分かるのですか?」と聞かれたので「今滞在している場所は突き止めてあります」と答えた。


 特に問題が無いのでそのまま「プレグレード城塞都市に逗留とうりゅうしているそうです」と続けた。


 『アルカナ』のパーティーは組んでから三週間ほどということらしかった、そして西側からこのフレイニアの王都フレイに進入しモンド商会へ辿たどり着いたらしい。


 で着いた直後に、あの事件に巻き込まれたのだということであった。


 実はその先の行程を決めてないそうなので、「一緒に行ってもいいでしょうか? 『ウィオラ』殿が師匠というその方を見てみたい、いやできれば私たちも教えを乞うてみたいのです」といって来たのだった。


「まあ、私たちも似たようなものだしね」と『セリア』がいった。


「でも道中色々あるから、大変だと思うよ。あー修行の一環と考えればケリは付くのか」と『セリア』が続けた。


「いつ頃たつ予定でしょうか?」と『アルカナ』が聞いた。


 『ウィーゼル』が「三日後の朝にはたつ予定だが? 本当に来るのかい? ウチのパーティーは毎度のことながら試練満載なんだが」といったのである。


 嘘では無いので、そのままにしておくことにした。


「そう言えば、足はあるのかい? 徒歩かな?」と『ゲルハート』が聞いた。


流石さすがに足は自分のものしか持ち合わせがありませんね」と『ティナ』はいった。


「実はウチのパーティーは馬と馬車の構成なんだ。だからもし来るなら馬でも調達しようか?」と『ゲルハート』がいう。


「馬には乗れるよね?」と『セリア』がいった。


 『ティナ』は「大丈夫です、一応一般教養ですし」と答えたが、『アルカナ』は「実は馬に乗るのは初めてで……」と語尾をにごしたのであった。


「まあ、最初は皆初めてだから、今から慣れて行けばいいさ」と『ゲルハート』がいったので『ゲルハート』が、乗用馬を二頭買ってくることになったのであった。


「馬まで用立ててもらえるなんて、なんとお礼をいったらいいのか」と『アルカナ』は戸惑とまどっていたのである。


 『ゲルハート』は「最初が肝心だから一緒に行くかい?」といって『アルカナ』と一緒に乗用馬を買いに行ったのである。


 その間に『セリア』が「私も用事を片してこようかな、すぐ見つかるといいんだけど」といって魔導士ギルドに行ったのである。


 『ウィーゼル』も「神殿に行ってくる、もう少し伸ばしてもらわんとな。修行の旅だからその辺は何とかなるとは思うが……」といってサリーネ誠神殿に行ったのであった。


 私は特にする事が無かったので『ティナ』にジラート連合王国の話を聞いたりして、『ゲルハート』と『アルカナ』が帰ってくるまで色々なことを聞いたり話したりしていたのであった。


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