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第24話 vs堂珍和也

「対決……ですか?なんでそんなことをしなくちゃならないんでしょうか?」

 美織は首を傾げたが、

「うるせえ!いくぞ!」


 堂珍和也はアイテムボックスから棍棒を取り出した。これが堂珍和也の武器だ。ブン!とひと振りすると、持ち手の部分以外が炎に包まれ、それがオーラをまとった。


「棍棒だけど、灼熱とオーラで剣のようにも扱える。これが俺の得意技さ。さあ、楽しもうじゃねえか、剣呑寺いおり!」


 堂珍和也は地面を蹴り上げると、美織の頭上から棍棒を振り下ろした。それを剣で難なく受け止める美織。


「棍棒って、軽いんですね?」

 とキョトンとしている。日頃重たい魔物の重撃を受け止めている美織からすると、堂珍和也の攻撃は軽過ぎて違和感がある程だ。


「なっ……!?抜かせ!!」

 美織の剣を弾き飛ばそうと薙ぎ払うも、美織はそれを軽くいなした。


「お前も深層、俺も深層。ソロで潜れる高校生は、日本人じゃ俺たちだけ。実力は拮抗しているのかも知れねえな。だが──お前はスキルの力を持たない!!」


 堂珍和也がオーラを強めると、棍棒にまとった炎が巨大化し、棍棒の先から伸びるようにして、円を描くように美織を襲った。


「俺のスキルは棍棒使いと燃焼操作。俺のオーラと合わさって、炎を自在に動き回らせることが出来る。鉄をもぶった斬るこの炎に、お前はいつまで耐えられるかな?」


 堂珍和也がニヤリと笑う。

 美織は空中に飛び上がり、クルリと空中で回転して器用に炎の攻撃を避けた。


 燃焼操作のスキルとは、自分のオーラを熱に変換し、対象に燃え移らせるもの。一度燃え移った炎は、スキルの使用者が制御している間ずっと燃え続ける。


 武器に炎をまとい、その温度を変化させることで、燃焼効率を操作する能力。この能力は熟練度が上がれば上がるほど威力が増していき、強いモンスターと戦っている時にも、より強力な攻撃が可能となる。


 武器に火や炎の属性をまとわせるだけではない。武器を熱し、火種を作り、それを投げつけることで炎を操れるのだ。


aura nightオーラナイト!?

kazuya dochin堂珍和也!?

:オーラナイトってなんだ?

:アメリカじゃそう呼ばれてんだよ

:えらくかっこよさげな2つ名で

:いおりん、逃げて!

she dies死んだな

:堂珍は日本人の高校生の中じゃ最強だぞ!


 コメント欄は海外勢も合わせて、美織に逃げろと言ってくる。だが美織は少しも慌てる様子がなかった。


「なるほど……それがあなたのスキルなんですね。」

 美織は堂珍和也の攻撃を避けると、剣を構えたままジリジリと距離を詰めた。


「へっ……ビビったってもう遅えよ!」

 堂珍和也は得意げに笑うと、棍棒にまとわせた炎を鞭のようにしならせて、美織の足元を薙ぎ払った。


「はっ!目障りな蠅はこれでおねんねだ!」

 しかし、美織はその攻撃を剣で軽く受け流すと、そのまま堂珍和也の懐に潜り込み、剣の柄で腹部を強打した。


「ぐふっ!!」

 その一撃は重く、堂珍和也は膝をついてしまった。


「あなた……深層冒険者なんですね。でも、私だって攻撃系のスキルは使えなくても、それなりに鍛えてますから。」


 膝をついたまま堂珍和也の薙ぎ払いが飛んでくる。美織は剣で棍棒を受け止めた。しかし、その重さに剣を持つ手が震える。

「くっ……!」


 美織が力負けして後ずさる。そこに追撃の炎が迫る。

「さあ、どうする?」

「こうするんです!」


 美織が剣を地面に突き立てると、その地面が盛り上がり壁となって炎を防いだ。

「はっ!なんだ、スキル持ってんじゃねえか!」


「これはスキルの力なんかじゃないですよ。ダンジョンは的確な場所をつつくと、反応するものなんです!こんな風に!」


 美織が斬撃を地面に飛ばすと、針の山が動いて一斉に堂珍和也に襲いかかった。

「なんだ!?ここの針の山が動くなんて、今まで聞いたことねえぞ!?」


 堂珍和也は慌てて針の山をかわすと、そのかわした動きのまま、美織を斜め上から素早く何度も突いた。怯んだ美織に棍棒を振りかざし、斜めの角度から横薙ぎに打ち付ける。


 棍棒は美織を殴打し、そのまま横薙ぎに振り下ろした。美織はそれを剣で受け止めるも、纏っている炎は剣を伝って美織の手にダメージを与えてきた。


「くっ……!」

 堂珍和也が棍棒を握る手に力を込めると、棍棒から炎が吹き出して美織の手から剣を跳ね飛ばした。


「あっ!」

「これでお前は丸腰だ。さあ、どうする?降参するか?」

 堂珍和也がニヤニヤしながらそう言うと、棍棒から伸びる炎は美織の脚を薙ぎ払った。


「きゃっ!?」

 バランスを崩して転倒する美織を、堂珍和也は棍棒で追い討ちをかける。


「オラオラ!さっきまでの威勢の良さはどうしたあ!?剣呑寺いおり!!さっさと降参したらどうだあ!?アァ!?」


 起き上がろうとする美織の頭を狙い、振り上げられた棍棒。それをジャンプでかわした美織は、そのまま空中で一回転し、堂珍和也の頭に蹴りを入れた。


「痛ってえ!!」

 堂珍和也が思わず頭を抱えると、美織はその隙を逃さずに立ち上がり、距離をとった。


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書き上がっちゃったんで、今日も2回更新です。この先どこかで配信間空くかもしれませんが、見せたくなってしまう。


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