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第25話 これがほんとの焼き土下座

「スキルのないお前如きが……この俺にダメージを与えるだと!?どうやって!?」

「強いて言うなら……気合?」

 頭をさすりながら睨む堂珍和也に、美織はしれっと答えた。


「ふざけるなあ!」

 堂珍和也は怒り狂いながら棍棒を振り回すが、攻撃パターンの読まれた動きは早々にかわされ、美織に剣を拾わせてしまう。


 美織は必死で剣で棍棒を防いでいるが、剣を持つ手に熱気が伝わってくる。

「くっ……!熱い!」


「ははは!その炎はお前の剣をも焼き尽くすぜ!」

「それはどうでしょうか?」

 美織の不敵な笑みに、堂珍和也はたじろいだ。


「な……なんだ?その余裕は」

「私はスキルなんて持ってませんけどこの程度の熱なら耐えられます。それにラヴァデーモンに比べたら大したことありませんし!」


 美織がバックステップで躱すも、力をぶつける先を失った棍棒が地面に叩きつけられると、地面が爆発して破片を飛ばす。


 美織は剣を素早く動かし、その破片を打ち落とした。だが隙ができたところに、今度は堂珍和也の蹴りが入る。


「ぐっ……!!」

 美織は咄嗟に飛びのいて剣の腹でガードしたものの、その勢いで後ろに飛ばされた。


「逃すかよ!」

 堂珍和也は棍棒を地面に叩きつけると、その地点から炎の竜巻が発生した。美織はその竜巻に飲み込まれた。


「どうだ!俺のオーラとスキルの力は!」

 堂珍和也が勝ち誇ったように叫ぶと、竜巻の中から、無傷の美織が現れた。堂珍和也は目を見開く。


「なんだと……!?」

「うーん……大した熱さじゃないですね」

「これならどうだ!!」


 堂珍和也は棍棒を頭上に投げると、剣先から無数の火の玉を放ち、それが美織に向かって降り注ぐ。が── 美織は剣を一振りするだけで、全ての火の玉を消し去った。


「な……なにぃ!?」

 堂珍和也が驚くのもつかの間、今度は美織が武器を持たない堂珍和也に斬りかかる。

「甘えよ!」


 オーラで棍棒を引き寄せ、再び炎が美織を襲う。美織は炎を避けるべく跳び上がったが、更に堂珍和也が棍棒を振り抜き、炎の軌跡を延長させるように炎が美織を追った。


「それなら!」

 美織空中に飛び上がり、空中で体勢を変えながら迫り来る炎を全て剣で捌き切ると、そのまま堂珍和也に向かって落下する。


 堂珍和也がそれを棍棒で受け止め、着地した美織の素早い連続した突きが、すべて棍棒でいなされて軌道が変えられてしまう。


「いおり!悔しいけどそいつ、強いよ!

 早く逃げよう!」

 獄寺ちょこも、少し離れたところで隠密を使い姿を隠しながらそう叫んでいる。


 それを聞いた堂珍和也は、自分の実力のほうが上であることを確信して、炎を自在に操りながら遊びだした。

「ほらほら、髪の毛が焼けちまうぞ?」


 美織そのものに攻撃が当たらずとも、服や髪の毛なら焼くことが出来ると堂珍和也は考えた。それでもじゅうぶん女の子ならショックを受ける。何より全裸に出来るのだから。


:相手にしてもらえなかった途端、女子をいたぶるクズの所業

:やってることが昭和のヤンキーなんよ

:昭和に生まれてたら女薬漬けで●してそう

:気に入らないとすぐキレるクズ

:これでも顔がいいからって堂珍和也のファン公言してる女ってなんなん

:ライバルになる女痛めつけられてたら、むしろ大歓喜してんじゃね


 コメント欄も堂珍和也のやり口に非難が殺到している。堂珍和也のファンは、まだこの配信に気が付いていないのか、コメントをしてこないが、いつも堂珍和也を擁護する発言をする害悪ファンばかりだ。来ていたら配信が荒れることは間違いないだろう。


 だが美織は、

「うーん、そろそろですかね。」

 と余裕の表情だった。


「あ?何がそろそろだって……。」

 そう言った堂珍和也の服が、一瞬でバラバラと分解したように地面に落ちた。

「な!?んなあっ!?」

 手には棍棒がある為思わず前を隠せない。


「あんまりこっち向かないでくださいね、気持ち悪いの、で!」

 美織が剣を下から上に薙ぎ払うと、火をまとった棍棒が堂珍和也の顎をしたたかにうちつけて、空中に回転しながら飛び上がった。


「はい!はい!はい!はい!」

 美織が堂珍和也の両肩、鼠径部を剣の底で連続して突くと、突然カクッと力が抜けて、堂珍和也は地面に四つん這いになった。

「ち、力が入らねえ……!?」


「あっ!ごめんなさい、よけて!」

 美織が慌ててそう言ったが、全身の力が抜けて前のめりになり、尻を上げ土下座したような状態から身動きが取れなかった堂珍和也の尻に、空中に飛ばされていた棍棒が、ブサッと突き刺さり、全身に火が広がった。


 美織の放送は自動でモザイクがかかるようになっている為、肝心な部分こそ映っていないが、土下座状態で尻に棍棒が刺さった男が全身火だるまなことだけは何となくわかる。


:まさにこれが焼き土下座www

:これ見たら女ファンも逃げるだろwww

:堂珍和也のファン、見ってる~?

:メwwwシwwwがウwwwマwwwイ

:切り抜いて拡散完了


 そこへ、

【配信アンケート。

 1.堂珍和也を助ける。

 2.堂珍和也を助けない。】


 美織が何も打ち込んでいないにも関わらずそんなアンケートが突然表示された。


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この作品は読者参加型です。

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さあ、どちらが選ばれるのか。

今回は決まっているような気もしないでもないですか(*^^*)


別に作者はイケメンが嫌いなわけではないですよ?(ホントダヨ)

ただヤリチンを隠してるのが嫌いなだけです。公言してる奴は好きです。


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