【配信アンケート。
1.堂珍和也を助ける。(18.2%)
2.堂珍和也を助けない。(81.8%)
2.堂珍和也を助けないが選択されました。】
「知ってた。」
スマホで配信画面をチェックしていた獄寺ちょこは、アンケートの結果を見てそう呟いた。だが慌てたのは美織だ。
「だ、だいじょうぶですか?」
美織は思わず堂珍和也に駆け寄った。
「うう……た、助けてくれ……。」
堂珍和也が助けを求めて顔を上げる。
「キャッ!!」
測らずもスカートの中を下から覗き上げる角度になった為、美織は思わず堂珍和也の顔面を踏んで、視界を足の裏で塞ごうとした。
ほぼ反射的な行動で、他意も悪意もない。単純にパンツを見られるのを防ぎたかっただけだが、その行動がとある変化を産んだ。
「あ!ご、ごめんなさい……!つい思わず踏んじゃって……。今助けますね!」
堂珍和也の全身を覆う炎を、自身のオーラで消してやる。
だがそれ以上のことが出来ない。美織はアイテムドロップをまともに出来ない為、回復アイテムを持っていないのだ。
回復アイテムはダンジョンの産物。市販で手に入れようと思うと、ダンジョンでドロップしたものを購入する他なかったが、これがまた異常に高いのだ。
レベルが高いものになると、切れた手足すら再生出来る代物だ。数百万ではきかないお値段がする。火傷が治せる程度でも、全身となると数千万は最低するだろう。
またそのレベルでなくとも、緊急時に命を救える物として、保険のきかない医薬品扱いで、それぞれの国が管理しているのだ。
だから美織は今までも常に自力で治すか、強くなってからはそもそも怪我自体をしなくなっていた為必要がなかったので、ポーションのたぐいを購入したことがなかった。
その為炎は消せても、炎でおった火傷を治してやることが出来ない。アンケートで堂珍和也を助ける、が選択されていたら、それを治すことが出来たのだろうが。
:追い打ちかけてて草
:ありがとうございます
:いおりんに顔面踏まれたい
:顔面踏みはご褒美でしかないのよ
:↑通報しますた
「どうしましょう、私、回復アイテム持ってないんです。火傷が治せません。」
そう困惑する美織に、
「腐っても上位探索者よ?それくらい持ってるだろうし、自力でなんとかするでしょ。相手の攻撃じゃなく、自分の炎なんだし。」
と獄寺ちょこがすげなく言った。
「そ、そうですか?ならいいんですけど。」
美織がほんの少しほっとした時だった。
美織の足に、ガバっと抱きつく堂珍和也。
「きゃあっ!?何するんですか!!」
美織は思わずガシガシと足で堂珍和也を蹴って、足から引き剥がそうとする。
「やめてください!気持ち悪い!」
全裸の全身丸焦げの男が抱きついてくるのだ。美織でなくても恐ろしい光景だろう。
だが、美織からそう罵られた堂珍和也は、
「ありがとうございます。」
と、トロンとした目で美織を見ていた。
「もっと踏んで下さい。私は美織さまの豚です!」
「は?ヤベーなこいつ。」
獄寺ちょこが呆れた表情で見ている。
「きゃあああああ!」
恐怖で蹴りまくり、顔を踏みまくる美織。
そのたび、ブヒィ!ブヒィ!と鳴く堂珍和也。キモい!と言われて喜んでいる。
「セッ●スが産んだゴミだろこいつ。」
と言う獄寺ちょこの言葉に、
「セッ●スが産んだゴミ、堂珍和也です!」
と復唱する堂珍和也。
美織から身体的な屈辱を、獄寺ちょこから言葉での屈辱を与えてもらえるという、本人的にはご褒美状態になってしまっている。
:新たな快楽に目覚めおったwww
:気持ちはわかる
:ワイも美少女2人からせめられたい
:豚が大量発生していて草
:
:↑
:↑
オーラナイトと呼ばれ、強者として崇められていた堂珍和也しか知らないことで、混乱する海外勢に、英語で回答するリスナーまで現れ、この異常な状態を説明している。
:ウソでしょ……あれが、かっくんなの?
:おいテメ何してんだそこの女ァ!
:ウソだと言ってよ和也……
:今頃堂珍のファンが来たみたいだぞ
:かっくんとか呼ばれてて草
:かっくんは立派な豚に転生しますた
堂珍和也のファンもコメント欄に現れ、堂珍和也の変貌ぶりを嘆いているが、リスナーからすれば新たな弄りネタが現れたも同然であった。
コメント欄は堂珍和也を擁護するファンと美織のファンとのやり取りで大荒れである。だがファンが否定しようにも顔だけはモザイクがかかっていない為、モザイクをかけたほうがよさそうな、だらしのない雄豚顔をさらしてしまっている堂珍和也の顔がハッキリとわかる状態で言い訳のしようがなかった。
それにより、美織のアンチが誕生し──主に堂珍和也のファンだが──アンチスレが活発な動きを見せたが、やがて彼女らは物理的にわからされることになる。
また堂珍和也の全裸焼き土下座シーンは、瞬く間に世界中という規模で拡散され、それにより美織の力は本物だという認識が広がり、各ギルドが獲得に動き出したのだった。
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助けるを選択していたら、雄豚にはならなかった堂珍和也君である。
(普通に信望者になる予定だった)
アンケート結果は他サイトとの合算です。
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