やっぱり、僕のこと嫌いになっちゃたのかなぁ……。あの日、喧嘩して君が出て行った日、もうすでに僕に対して愛想が尽きてたんじゃないか? だから、別れてから四年間一度も連絡すらくれなかったんじゃないか……!?
僕はりんちゃんにもらったクッキーの小袋を両手に力を入れて握りしめ、とぼとぼと当てもなく薄灰色の廊下を歩いた。
「あれ? 何で泣いてんの?」
指摘されてはじめて、自分が涙を流していることに気がついた。
「あれ……? なんでだろ……わかんないや」
ごしごしと、両手の甲で雑に目のまわりをぬぐった。
目の前にいる男、ホストの屑山は『え、怖……』と小さくつぶやいた。
僕がその場を後にしようとすると、屑山は僕の肩に手を回した。
「誰に泣かされたの? 可愛い顔が台無しだよ」
全然好みのタイプじゃないけど、さすがホスト! ちょっとドキッとした。