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一日目:夜(~22:00)⑩

 屑山が食堂について来てほしいというので、僕はそれに従うことにした。まだ食堂の場所が分からなかったし、何よりこういうゲームでは誰かと組んだ方が生存率が上がるからだ。








 食堂に着くと、中華服を着て横髪を三つ編みにした男がいた。コイツはたしか、自己紹介のときに……。






「ワサシの名前は佐藤 鈴木さとう すずき。群馬県で生まれたヨ。しがない介護士あるネ」

「嘘つけ! 全部嘘だろ!」


 佐藤(自称)の自己紹介に、大学生の宇佐霧がツッコミを入れる。



「全部ほんとうヨ」

「お前みたいな怪しい外国人に介護なんてされとうないわ!」

「宇佐霧くん! それは外国人差別ですよ!」


「まあまあ、別にいいじゃない。そんな細かいことは」

 自称ナンバーワンホストの屑山の一言で、佐藤(自称)と宇佐霧と二階堂は静かになった。



「どうぞどうぞ佐藤さん、自己紹介をつづけて」

 そしてこのあと、彼が口にした言葉は



「ワサシは基本はタチだけど、タチ・ネコ、両方いけるアルネ。成人済みの男ならイケメンからブサメン、若者からジジイまで、全員平等に抱いてやるし抱かれてやるヨ。ヘイカモ~ン!」


 彼以外の全員が『タチ』という中、彼一人だけが『ネコもいける』と答えたのだ。これはみんな結構衝撃的だった。


 なぜなら、このバリタチ人狼ゲーム、『バリネコ』という役職があるからだ。バリネコは狩人に守られると死ぬ。自分が狩人でない限り、バリネコかもしれないと疑われること自体が危険なのだ。






 ただでさえ何を考えているのか読めない男だ。何をしでかすか分からない。この佐藤という男は要注意だ。


 僕は目の前にいる佐藤の顔を、じっと睨みつけるように凝視する。




「ラーメン食うあるカ?」

「えっ?」

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