屑山が食堂について来てほしいというので、僕はそれに従うことにした。まだ食堂の場所が分からなかったし、何よりこういうゲームでは誰かと組んだ方が生存率が上がるからだ。
食堂に着くと、中華服を着て横髪を三つ編みにした男がいた。コイツはたしか、自己紹介のときに……。
「ワサシの名前は
「嘘つけ! 全部嘘だろ!」
佐藤(自称)の自己紹介に、大学生の宇佐霧がツッコミを入れる。
「全部ほんとうヨ」
「お前みたいな怪しい外国人に介護なんてされとうないわ!」
「宇佐霧くん! それは外国人差別ですよ!」
「まあまあ、別にいいじゃない。そんな細かいことは」
自称ナンバーワンホストの屑山の一言で、佐藤(自称)と宇佐霧と二階堂は静かになった。
「どうぞどうぞ佐藤さん、自己紹介をつづけて」
そしてこのあと、彼が口にした言葉は
「ワサシは基本はタチだけど、タチ・ネコ、両方いけるアルネ。成人済みの男ならイケメンからブサメン、若者からジジイまで、全員平等に抱いてやるし抱かれてやるヨ。ヘイカモ~ン!」
彼以外の全員が『タチ』という中、彼一人だけが『ネコもいける』と答えたのだ。これはみんな結構衝撃的だった。
なぜなら、このバリタチ人狼ゲーム、『バリネコ』という役職があるからだ。バリネコは狩人に守られると死ぬ。自分が狩人でない限り、バリネコかもしれないと疑われること自体が危険なのだ。
ただでさえ何を考えているのか読めない男だ。何をしでかすか分からない。この佐藤という男は要注意だ。
僕は目の前にいる佐藤の顔を、じっと睨みつけるように凝視する。
「ラーメン食うあるカ?」
「えっ?」