スマホに自分の役が表示されたときから、最初に誰を犯すかをずっと考えていた。
『ぴんぽんぱんぽーん♪ おしごとの時間だよ~。そこの引き出しに鍵の束が入ってるんだけど、暗証番号はちゃんと分かる?』
股間の貞操帯につけられたスピーカーから、深夜だというのに耳障りな明るい声が響く。無視してダイヤルを回し、引き出しを開けると、中にはそこそこ重そうな鍵の束が入っていた。
『そうそう。ちゃんとそれ、持っていってね。大事な大事なものだからね。くれぐれも無くさないで』
鍵の束を手に持つと、じゃらりと心地の良い高級感のある金属の音がした。アンティーク感とでもいうのだろうか。とにかく、それは自分の手にとてもよくなじんだ。
『当たり前田のクラッカーだよ。だって、君のためにつくったんだから! じゃ、今夜は誰を殺す?』