ある日の放課後。
「久しぶりに一緒になったわね」
「ですね」
二人は共に図書委員会に所属していたが、揃って仕事をする機会はほとんど無かった。恐らく今年度二回目とかそれぐらい。
図書室は常に開放しているが、図書委員が仕事をするのは昼休みと放課後のみ、それ以外の時間は司書教諭のみが仕事をしている。
「まずは返却された本を戻していきましょうか」
涼音が返却された本が入ったワゴンを押す。
そのテキパキと仕事をする姿に涼香は涙を禁じ得なかった。
「成長したわね、もう私はいらないのではないかし「サボらないでください」
「冗談よ」
肩を竦めた涼香がテーブルに置いてある本を数冊取ると涼音を追いかける。
「涼音、乗ってる本のほとんどはあっちの書架よ」
涼香の言葉に従って涼音はワゴンを動かす。
二人は黙って本を書架に戻していく。まだ放課後になったばかり、利用者のいない図書館で黙々と作業を続ける。
「ねえ涼音」
「……なんですか?」
高い場所の本を戻してもらうため涼香に本を差し出す。
「呼んだだけよ」
「なんですか、それ」
涼音が笑いながら言う。
本を受け取った涼香が本を戻そうと腕を上げる。
「ねえ……涼音」
「なんですか?」
下の書架に本を戻していた涼音が顔を上げる。
「肩を……痛めたわ」
「えぇ……」
こうしていつも通りの緩慢な放課後が過ぎていく。