スール国王にグラッス国内で起きた出来事の報告を終えたジエイはプレツへの入国を果たしスップのミッツ教団の教会にギン達と合流すべく向かっており、教会とおぼしき建物を発見し中に入る。
「失礼します」
ジエイの声を聞いてルルーが反応を示す。
「ジエイ、久しぶりね」
「お久しぶりです皆さん」
ジエイが再会の挨拶を返すとルルーが司祭にジエイを紹介する。
「紹介します。彼がスール国のジエイ殿で、我々と行動を共にしてくれています」
ルルーの紹介を聞き、司祭とジエイも挨拶をかわす。
「初めましてジエイ殿、私がミッツ教団司祭です。我が同胞がお世話になっているようですね」
「スール国諜報員ジエイと申します。私も皆さんにはお世話になっております」
互いに挨拶を終えたのを確認すると、ルルーが司祭に対して呼びかける。
「司祭様、ジエイ殿にも魔法剣の歴史を話すのが良いと思うのですが」
「そうですね、ではお話ししましょう」
司祭はそう言うとジエイに対して魔法剣の歴史の話をした。その話を聞いてジエイは驚愕する。
「邪龍、そして剣士だけでなく魔導士がいたとは、我が国にはそれらの伝承は断片的にしか伝わっていなかったので、驚きです」
ジエイが驚愕している中ギンがジエイに自らの出自についても打ち明ける。
「ジエイ、ついでだから俺の事も話しておこう」
「ギン殿?」
「俺はルワール王国に仕えていた小領主の第3子だ」
「ルワールの……」
それからギンはジエイに対し、ブレイクという男に剣、そして魔法を教わりその過程で魔法剣を習得したこと。両親、2人の兄が内乱で死亡し、自身はブレイクによってコッポに逃げのびたこと、更に幼き頃に他家へと養子に出された妹のことについて話した。
「ギン殿、話を聞くといろいろ合点がいきました」
「驚かないのか?」
「さすがに内容には驚きましたがあなたから時折感じる気高さ、そして敵に打ち勝つためのストイックさ、過去の出来事を聞けば今のあなたに通ずるものがあります」
「ジエイ、過去を否定はしないが俺達にとって大事なのは今だと思う。今の俺はお前達に会えたことでも作られているんだ」
ギンの話を聞いてジエイは思わず感心してしまう。
「さすがですギン殿、あなたにはいつも感心させられる」
「俺は思ったことを言ってるだけだ」
ギンの言葉を聞いたジエイはルルーの方を向き直し今後の動きを尋ねる。
「さてルルー殿、またどこかの国に同盟交渉に向かうなら私も同行しますが、いかがなさいますか」
「いえ、ジエイが来てから詳しい話をしようと思ったから話すけど今国内で新たな問題が起きたの」
ルルーの言葉の意味とは?