ピトリ国の王都をあとにし、アイルの街まで戻ろうとしたギン達は行きの際にはなかった砦を目の当たりにする。
そしてその砦にはブロッス帝国の兵士が詰めており、襲撃を受ける。
ギン達が砦に接近する少し前に指揮官が詰めている砦にギン達が接近しそうだという報告が入っていた。
「ブリード様、奴らです、奴らがこの砦に接近しております」
今回の作戦の指揮官はブロッス帝国のバンス将軍の副官であるブリードであり、部下の報告を受ける。
「やはり来たか。ここに砦を建てて正解だったようだな」
「正直、砦を建ててまで迎え撃つのはいかがなものかと思いましたが」
部下の言葉に対しブリードが返答をする。
「奴らはもはや我らが一番に警戒せねばならん相手といってもいい、帝国一強には奴らの存在が邪魔ではあるからな」
「しかし、ブリード様、バンス将軍抜きで奴らを迎え撃つのは私は少々不安です」
「だがバンス様は今頃ピリカ様の婚姻の儀に出席しておられる。父親としての役割をしっかりと果たしてもらうのも我らの務めだ」
ブリードと士官のやり取りにまた別の士官が加わる。
「そうですね、特にあの強面将軍に孫が生まれた時にどういう顔をするかが見ものですな」
「ふっ、ハッハッハッ、俺もそう思う」
冗談交じりのやり取りのあとにブリードはその場にいる将兵に檄を飛ばす。
「良いか皆の者!この戦いは帝国の為、そしてバンス様、ピリカ様の為にも絶対負けられん!」
「おーーー!」
「我らの命に代えても奴らを討ち果たすのだ!」
「おーーーーーー!」
ブリードが檄を飛ばし、将兵が応えると、兵士から報告が入る。
「ブリード様、奴らに我らの奇襲が見破られ、前2つの砦が早くも落ちました」
「ちっ、奴らに小細工は通用せんか、だが弓隊は砦の中より攻撃をし、槍隊は外で奴らをかく乱しろ、我らも前線に出る。そう伝えろ!」
「はっ!」
ブリード達が前線に赴こうとしたその時に、ギン達は3つ目の砦の陥落に成功していた。
陥落に成功するとブライアンが言葉を発している。
「へっ、数ばかり多くてどいつもこいつも大した事ねえな」
ブライアンの言葉にルルーが釘をさす。
「でもブライアン、帝国は私達を止める為だけにこんな数の砦を用意したのよ。油断はできないわ」
ルルーの言葉が聞こえたギンは言葉を発する。
「どうやら敵の本陣が早くも動き出したようだな」
「えっ⁉」
「あっちの方を見てみろ。敵の指揮官が動き出した」
まだはっきりとは見えないが奥からブリードが指揮する本隊がギン達に迫ろうとしていた。