ギン達とバンス将軍の副官であるブリードが指揮する部隊が交戦している頃、ピトリ国に留まっていた魔導騎士団に1つの知らせが届く。
その文を読んだ魔導騎士団長カイスより内容が部下達に伝えられる。
「エンビデスの文によるとピリカ殿とルード殿の婚姻の儀が行われるようだ。これにはバンス将軍も喜ばしいだろう」
カイスの伝えた内容に対し、副官のトーラスが返答をする。
「そうですね、これで帝国内の結束が高まれば前線で戦う我らや兵の士気も高まりましょう」
トーラスが言葉を発すると、そばにいるプラナが自身の思いを話す。
「それはもちろん大事ですが、バンス将軍はピリカ様のお幸せを願って、今回の縁談を陛下に懇願したのです。互いに思い合っている者同士が結ばれるべきと」
プラナの発言を聞き、カイスが言葉を返す。
「ふっ、バンスらしいな」
「そうですね、ピリカ様がお話して下さったのですが、バンス将軍も亡き奥様に対し猛アプローチをかけてご婚姻なされたと」
プラナが珍しく和やかな表情でカイスに話していると、突如何者かがカイスに接近し声をかける。
「カイス団長ですね」
「貴殿はエンビデスの使者か、いかがした?」
カイスに声をかけたのはエンビデスの使者であり、訪れた用件を伝える。
「既にルード様、ピリカ様の婚姻の儀は始まっておるのですが、バンス将軍が出席なさっておらず、ピトリへ出立したとの情報を得ました」
「何だと⁉」
「魔導騎士団にもバンス将軍の捜索にご協力いただきたく参上いたしました」
使者の話を聞き、カイスは1つの結論に至る。
「待てよ、確か今バンス隊の副官であるブリード卿が部隊を指揮し奴らの……ギン達の足止めをしているはずだ」
カイスの言葉を聞き、プラナがさらに尋ねる。
「それではバンス将軍はブリード卿達の救援に向かったという事ですか⁉」
「奴の事だ、自ら指揮を執らねばギン達を倒せぬと思ったのだろう」
「何故?バンス将軍はピリカ様の婚姻の儀を見届けたがっておいでであったのに」
「奴が武人だからと言うほかあるまい、だが今奴が戦うべきではない。ひとまず我らもバンス隊が建設した砦に向かうぞ」
カイスの呼びかけにトーラス、そしてプラナが応える。
「はっ!」
「承知しました!」
父としての立場より武人として戦場に赴かんとするバンス。
だが今は父としての立場を重んじるべきだと考えるカイス、そしてピリカの為にも戻るべきだと思うプラナはバンスを捜索する為、砦に向かう。