目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

5章 第2話 青海藍③

────── 宛先:青海 藍 様


拝啓

このたびは連邦軍士官候補生選抜試験にご応募いただき、誠にありがとうございます。慎重なる審査と選考の結果、貴殿を正式に「士官候補生」として採用することをここに通知いたします。


つきましては、以下の条件に基づき入隊および訓練への参加をお願いいたします。



・配属予定 :連邦軍士官学校 本科課程 第八期生

・着任地  :東洋防衛統合基地 第三訓練区画

・着任日  :────────


──────────────



──以上


今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。


敬具



────────



───「それじゃあ行ってくるね!」



「無理しないでね。身体に気をつけて、落ち着いたら連絡頂戴ね」



「お母さんも身体に気をつけてね」



「お父さん……きっと、立派な士官になって戻ってくるよ。お父さんみたいな、ね」




「ふん…………」



「お父さん……?もしかして……泣いてる?」



「……馬鹿を、言うな……俺にそんなものがある訳ないだろう……」



「素直じゃ無い所まで真似しなくていいのに……」




「藍……」




「何……?」




「…………


頑張れ……!」




「……うん!」



──


────


──────



「いいか、貴様らよく聞け!


今の貴様らは何者でも無い!蛆虫以下のゴミクズだ。ただクソして寝てるだけで士官になれると思うな!俺が五年間、貴様らに地獄を見せてやる!

いいな!


……返事は?」



『『Sir!Yes、Sir──!!!』』




──「この冷戦はいつ終わるかも分からない」


「常に戦争状態だと思え!」


「常に緊張感を維持しろ……!

……おい!聞いてるのか……!?

青海候補生!!」



「はい!聞いてます!Sir!」



「違う!返事はYes 、Sirだ──!!」




────「機械に頼るな!緊急不測の事態に即時対応出来るのは人間だけだ!常に鍛錬せよ!」


「おい、返事はどうした!!?」



『『Yes!Sir!』』──



──────「青海候補生、貴様その程度か?


もっと腰を下げろ!!


産まれたての子羊か……?貴様は!!?」



「No……Sir──!!」



────────「いいか、どんな事があっても味方を見捨てるな!」


「部下を家族の元へ帰す事も指揮官の使命だと肝に銘じろ!!」



「分かったな!!」




『『Sir、Yes!Sir!!』』───



──────



──────────「この五年間、よく耐えた」



「貴様らはこれで、一人前の兵士だ」



「しかし、これで終わりではない……貴様らの前にはこの先必ず、困難な任務が待っている」



「だが忘れるな……!五年間流した血と汗が、必ず貴様らの盾となるだろう」



「俺からは以上だ……貴様らの、健闘を祈る!!



これをもって、当部隊の指揮を解く!



────別れ!!」




───────




───青海少尉……ちょっといいか……?



「はい、Sir。何でしょうか?」



「実は君に……特別任務に就いて貰いたい」



「Yes、Sir。どんな任務でもご命令下さい……!」



「うむ、その任務とは、ある要人の警護なんだ……。



その要人の名前は────」









この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?