────── 宛先:青海 藍 様
拝啓
このたびは連邦軍士官候補生選抜試験にご応募いただき、誠にありがとうございます。慎重なる審査と選考の結果、貴殿を正式に「士官候補生」として採用することをここに通知いたします。
つきましては、以下の条件に基づき入隊および訓練への参加をお願いいたします。
記
・配属予定 :連邦軍士官学校 本科課程 第八期生
・着任地 :東洋防衛統合基地 第三訓練区画
・着任日 :────────
──────────────
──以上
今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
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───「それじゃあ行ってくるね!」
「無理しないでね。身体に気をつけて、落ち着いたら連絡頂戴ね」
「お母さんも身体に気をつけてね」
「お父さん……きっと、立派な士官になって戻ってくるよ。お父さんみたいな、ね」
「ふん…………」
「お父さん……?もしかして……泣いてる?」
「……馬鹿を、言うな……俺にそんなものがある訳ないだろう……」
「素直じゃ無い所まで真似しなくていいのに……」
「藍……」
「何……?」
「…………
頑張れ……!」
「……うん!」
──
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──────
「いいか、貴様らよく聞け!
今の貴様らは何者でも無い!蛆虫以下のゴミクズだ。ただクソして寝てるだけで士官になれると思うな!俺が五年間、貴様らに地獄を見せてやる!
いいな!
……返事は?」
『『Sir!Yes、Sir──!!!』』
──「この冷戦はいつ終わるかも分からない」
「常に戦争状態だと思え!」
「常に緊張感を維持しろ……!
……おい!聞いてるのか……!?
青海候補生!!」
「はい!聞いてます!Sir!」
「違う!返事はYes 、Sirだ──!!」
────「機械に頼るな!緊急不測の事態に即時対応出来るのは人間だけだ!常に鍛錬せよ!」
「おい、返事はどうした!!?」
『『Yes!Sir!』』──
──────「青海候補生、貴様その程度か?
もっと腰を下げろ!!
産まれたての子羊か……?貴様は!!?」
「No……Sir──!!」
────────「いいか、どんな事があっても味方を見捨てるな!」
「部下を家族の元へ帰す事も指揮官の使命だと肝に銘じろ!!」
「分かったな!!」
『『Sir、Yes!Sir!!』』───
──────
──────────「この五年間、よく耐えた」
「貴様らはこれで、一人前の兵士だ」
「しかし、これで終わりではない……貴様らの前にはこの先必ず、困難な任務が待っている」
「だが忘れるな……!五年間流した血と汗が、必ず貴様らの盾となるだろう」
「俺からは以上だ……貴様らの、健闘を祈る!!
これをもって、当部隊の指揮を解く!
────別れ!!」
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───青海少尉……ちょっといいか……?
「はい、Sir。何でしょうか?」
「実は君に……特別任務に就いて貰いたい」
「Yes、Sir。どんな任務でもご命令下さい……!」
「うむ、その任務とは、ある要人の警護なんだ……。
その要人の名前は────」