男は、夢の中で見知らぬ老人と賭け事をしていた。
見知らぬ老人は、白く長い髭を蓄え、
笑みを持ち、しわがれた声で男に話した。
「ここにサイコロが有る。一回だけチャンスをやろう。」と
男は、夢だと思いながら、承諾する。
老人は、なをも語る
「1ならお前の勝ちじゃ。望みを叶えよう。
2~6ならワシの勝ちじゃ。」と
どうせ夢とたかがくくった男は、尚も応諾した。
老人は、ニヤリと口の端を歪ませながら、
手に持つサイコロをふる。
サイコロは転がり、5の目を出して止まる。
老人は、「ワシの勝ちじゃ。」と声を上げる。
男は、夢と思いながらも悔しそうな顔をした。
だが、所詮は夢の出来事と割り切り顔。
そして、男の目が開いた時に全てを知った。
石畳の上に寝転がる男を囲む様に屈強な騎士が立ち塞がる。
一瞬でラノベ小説が浮かんだ。
「あぁ、これが異世界召喚なのかと。」
頭の中では、しわがれた声が響く。
「悪かったのう。騙す積もりは無いのだが、
近頃の若者は召喚を嫌がってのう・・・。
お詫びにサイコロの出た目の数だけ、
何時もより多めにスキルを与えてあるから。
勘弁してくれ。」
ひとつの異世界召喚が有った。