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第198話 ロビーに出てジョブチェンジ診断

 ポータルの石碑を触ってロビーへと戻った。


「ドラゴンスレイヤーおめでとうっ!!」

「すごいね、世界初だよっ、『軍隊殺し』退治!」


 おめでとうおめでとうとロビーの配信冒険者さんたちが褒め讃えてくれた。

 いや、なんだか照れくさいね。


 ソファーに座って狩りの獲物を仕分ける。

 というか、あんまり敵は倒してないから量は無いね。


「ドラゴンの魔石はどうする、タカシ、売っちゃう?」

「どうしようかな、記念に飾っておいても良いけど」

「スイカみたいに大きいもんね、今日の焼肉パーティのテーブルに飾ろうよ」


 地獄門から『チャーミーハニー』さん達が入って来て、こちらに駈け寄ってきた。


「少年、助けに行くまで待っていてくれたまえよ」


 鮫島さんが息を切らしながら言った。


「知りませんよ、どうやって倒すつもりだったんですか?」

「え、遠距離でなんとか……」


 安全だけど時間が掛かりすぎだろう。


「レア呪文スペルレア呪文スペルをうちに売ってください~~」


 魔術師の縄谷さんが詰めよってきた。


「え、知り合いにあげるので駄目です」

「あー、そんな殺生な~~」


 知らない冒険者パーティも寄ってきた。


「金で買えるなら、うちに売ってくれ、一億出す!」

「安すぎだろ、なら俺んちは三億だっ」

「五億、五億でどうだ、タカシ君!」

『なんとも浅ましい事よのう』

『レア物出ると、売れ売れってうるさいのよ』

『億でもローン組めば買えるしなあ』


 もう、うるさいな。


「金では売らねえってんだろ、散れっ!!」


 鏡子ねえさんが頭の横に付けていた『鬼の面』をかぶって怒鳴った。

 【威圧】が入って人々は縮み上がった。

 というか、俺にも効いてコワイ。


「いやあ、しかし、よく動けないとはいえ『軍隊殺し』を倒したね、さすがはタカシ少年だ」


 そう言って鮫島さんはソファーに座り込んだ。


「というか、『ウラジの嵐』は逮捕できたんですか?」

「あー、逃がしたです」


 もう役に立たないな『チャーミーハニー』さんたちは。


「ミハエルの盾はドラゴンブレスを割りましたね、装備についてなにか情報はありませんか」

「ウラジ騎士団の魔術装備みたいよ、魔剣グラデンツィヤと魔盾オハンのセットみたい。起動条件は『言葉ワード』らしい」


 剣と盾のセットか。

 厄介な感じだな。

 言葉で起動するタイプか。


「きゃー、チアキちゃん、竜の尻尾可愛いね、私によく見せて」


 黒魔導師そのまんまの鮫島さんに怯えたのか、チアキは鏡子ねえさんの影に隠れた。


「あーん、振られた~~」

「風体が怪しすぎです」


 顔が見えないからなあ。


「ねえねえ、私たちもドラゴン肉が食べたいのだけれども、一緒に行っていい?」

「だめでーす。『Dリンクス』限定です」

「ううう、世界初の竜のお肉なのにっ」


 わりと図々しいですね鮫島さん。


 仕分けが終わったので換金カウンターで必要のないものを売り払う。

 鏡子ねえさんが『鬼の面』、チアキが『竜の尻尾』をそれぞれ手に入れた。

 お金を六等分にしてそれぞれの口座に入れる。


「ドラゴンを倒しましたねえ、タカシさん凄いです」


 今日の買い取りカウンターの女悪魔さんは、羊角のもこもこさんであった。


「いやあ、通路に詰まって動けなかったからですよ」

「それでも凄いですよ」


 女悪魔さんたちは褒めるのが上手いなあ。

 まあ、それが仕事なんだろうね。


 さて、レベルも上がったので、悪魔神殿でジョブチェンジ診断をするかな。


「こんにちは、タカシくんっ」


 今日の神父さんはゴーゴンさまであった。


「タカシくん、やったね、凄いわ」


 竹宮先生も居た。

 相変わらず神父さんのアシスタントをしているんだね。


「ありがとうございます」

「今日はジョブチェンジ診断?」

「はい」


 ゴーゴンさまが微笑んだ。


「では、来なさい」


 ゴーゴンさまの前に出た。

 頭のヘビがうねうねしているなあ。

 怖いぐらいの美貌である。


 ゴーゴンさまの手が俺の体をなで回した。


「さすがドラゴンを倒すと凄くレベルが上がりますね。今、ジョブチェンジできる職業はこんな所です」


 俺の目の前に職業パネルが開かれた。

 おお、結構増えたな。

 パネルの一番上に見た事も無い職業ジョブがあった。


『竜騎士』?


 チェンジ条件は『ドラゴンスレイヤー』の所得かな。


『おー、竜騎士!! ジャンプして槍で戦う職業か!』

『そんなFFな、ドラゴンに乗って戦う職業だろう』

『えーと、なになに【槍術】【騎乗】【竜テイム】【竜召喚】【飛行制御】などが取りやすいスキルか』

『というか、竜が居ないのになってもなあ』

『槍あるから泥舟向けかな、でも竜が居ない』

『召喚すればでてくんじゃね?』

『いや、召喚はテイムした竜を呼び出すスキルじゃ、居ない竜は来ないわい』

『異世界に野良竜いるの?』

『結構おるな、竜、ワイバーン、古竜に掛かる職業ジョブじゃて』


 騎士系の職業か。

 というか、竜が居ない地球だとあまり意味がない職業ジョブだなあ。

 120階のレグルスさんはテイム出来ないだろうしな。


「夢があるけど、意味がないねタカシ」

「そうだな」


 あと、新しい職業ジョブは……。

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