ポータルの石碑を触ってロビーへと戻った。
「ドラゴンスレイヤーおめでとうっ!!」
「すごいね、世界初だよっ、『軍隊殺し』退治!」
おめでとうおめでとうとロビーの配信冒険者さんたちが褒め讃えてくれた。
いや、なんだか照れくさいね。
ソファーに座って狩りの獲物を仕分ける。
というか、あんまり敵は倒してないから量は無いね。
「ドラゴンの魔石はどうする、タカシ、売っちゃう?」
「どうしようかな、記念に飾っておいても良いけど」
「スイカみたいに大きいもんね、今日の焼肉パーティのテーブルに飾ろうよ」
地獄門から『チャーミーハニー』さん達が入って来て、こちらに駈け寄ってきた。
「少年、助けに行くまで待っていてくれたまえよ」
鮫島さんが息を切らしながら言った。
「知りませんよ、どうやって倒すつもりだったんですか?」
「え、遠距離でなんとか……」
安全だけど時間が掛かりすぎだろう。
「レア
魔術師の縄谷さんが詰めよってきた。
「え、知り合いにあげるので駄目です」
「あー、そんな殺生な~~」
知らない冒険者パーティも寄ってきた。
「金で買えるなら、うちに売ってくれ、一億出す!」
「安すぎだろ、なら俺んちは三億だっ」
「五億、五億でどうだ、タカシ君!」
『なんとも浅ましい事よのう』
『レア物出ると、売れ売れってうるさいのよ』
『億でもローン組めば買えるしなあ』
もう、うるさいな。
「金では売らねえってんだろ、散れっ!!」
鏡子ねえさんが頭の横に付けていた『鬼の面』をかぶって怒鳴った。
【威圧】が入って人々は縮み上がった。
というか、俺にも効いてコワイ。
「いやあ、しかし、よく動けないとはいえ『軍隊殺し』を倒したね、さすがはタカシ少年だ」
そう言って鮫島さんはソファーに座り込んだ。
「というか、『ウラジの嵐』は逮捕できたんですか?」
「あー、逃がしたです」
もう役に立たないな『チャーミーハニー』さんたちは。
「ミハエルの盾はドラゴンブレスを割りましたね、装備についてなにか情報はありませんか」
「ウラジ騎士団の魔術装備みたいよ、魔剣グラデンツィヤと魔盾オハンのセットみたい。起動条件は『
剣と盾のセットか。
厄介な感じだな。
言葉で起動するタイプか。
「きゃー、チアキちゃん、竜の尻尾可愛いね、私によく見せて」
黒魔導師そのまんまの鮫島さんに怯えたのか、チアキは鏡子ねえさんの影に隠れた。
「あーん、振られた~~」
「風体が怪しすぎです」
顔が見えないからなあ。
「ねえねえ、私たちもドラゴン肉が食べたいのだけれども、一緒に行っていい?」
「だめでーす。『Dリンクス』限定です」
「ううう、世界初の竜のお肉なのにっ」
わりと図々しいですね鮫島さん。
仕分けが終わったので換金カウンターで必要のないものを売り払う。
鏡子ねえさんが『鬼の面』、チアキが『竜の尻尾』をそれぞれ手に入れた。
お金を六等分にしてそれぞれの口座に入れる。
「ドラゴンを倒しましたねえ、タカシさん凄いです」
今日の買い取りカウンターの女悪魔さんは、羊角のもこもこさんであった。
「いやあ、通路に詰まって動けなかったからですよ」
「それでも凄いですよ」
女悪魔さんたちは褒めるのが上手いなあ。
まあ、それが仕事なんだろうね。
さて、レベルも上がったので、悪魔神殿でジョブチェンジ診断をするかな。
「こんにちは、タカシくんっ」
今日の神父さんはゴーゴンさまであった。
「タカシくん、やったね、凄いわ」
竹宮先生も居た。
相変わらず神父さんのアシスタントをしているんだね。
「ありがとうございます」
「今日はジョブチェンジ診断?」
「はい」
ゴーゴンさまが微笑んだ。
「では、来なさい」
ゴーゴンさまの前に出た。
頭のヘビがうねうねしているなあ。
怖いぐらいの美貌である。
ゴーゴンさまの手が俺の体をなで回した。
「さすがドラゴンを倒すと凄くレベルが上がりますね。今、ジョブチェンジできる職業はこんな所です」
俺の目の前に職業パネルが開かれた。
おお、結構増えたな。
パネルの一番上に見た事も無い
『竜騎士』?
チェンジ条件は『ドラゴンスレイヤー』の所得かな。
『おー、竜騎士!! ジャンプして槍で戦う職業か!』
『そんなFFな、ドラゴンに乗って戦う職業だろう』
『えーと、なになに【槍術】【騎乗】【竜テイム】【竜召喚】【飛行制御】などが取りやすいスキルか』
『というか、竜が居ないのになってもなあ』
『槍あるから泥舟向けかな、でも竜が居ない』
『召喚すればでてくんじゃね?』
『いや、召喚はテイムした竜を呼び出すスキルじゃ、居ない竜は来ないわい』
『異世界に野良竜いるの?』
『結構おるな、竜、ワイバーン、古竜に掛かる
騎士系の職業か。
というか、竜が居ない地球だとあまり意味がない
120階のレグルスさんはテイム出来ないだろうしな。
「夢があるけど、意味がないねタカシ」
「そうだな」
あと、新しい