本来の性格上、貴照の本音と言えば、、、
「波風立てずに、平々凡々で、、、」
が、貴照のスローガン。
学生時からそうだ。
今は、食える分は充分に貰ってる。
ホントに、それで充分。
もう少し細かく言うと、中村さんは檀家や現場の仕切りをしてくれる。
貴照が行けば、祓う
マネージャーみたいなものだ。
一方、二ノ宮さんは術師。
まだまだ
正直細かい事や作法的な事はまだまだ解らないので、居ないと困る。
助かっている。
だから手伝ってもらってる中村さんと二ノ宮さんの二人には、感謝している。
何だったら少しくらい“お布施”をチョロ魔化して二人が私腹を肥やしていたとしても、基本的に文句は言わないつもり。
それで上手く廻るのなら、波風が立たないのなら、、、それで良い。
ただ、
貴照は、それが出来てしまう。
立場的にも。
力的にも。
“
貴照は今、とある外資系のエライさんに依頼された御祓いをしてきたところ。
この頃、感じるモノがある。
異常なほど力が強くなっていってるのが、自分で解かる。
――僕は、人間のままで
童子の名を冠し、少し自分に怖くなり始めの時期でもあった。
童子に
マンションの廊下を歩いて、部屋の前に辿り着く。
ポケットのカードキーを出して、パネルに当てた。
安っぽい音と共に、扉が解除。
貴照が住まいにしているワンルームへ入ろうとして、玄関で
――また、、、
そこに、見覚えのあるクロックスが脱いであったからだ。
廊下から部屋に入るとキレイに掃除され、テーブルの仕上げの拭き掃除をしている人物が居た。
貴照に気付くと、振り向き、笑った。
「いくらお
ぶっきらぼうに言う。
貴照の言葉に悪びれる事も無く、反対にフェロモンを『これでもかっ!』と
「疲れた身体を休める場所は、清潔にしといて
言って貴照の腕を取り、豊満な胸に当てる当てる押し当てる。
「お義母さん、息子にそんなくっ付かんといて、、、」
腕を引っこ抜く。
極力クールに、オトコマエに振舞うが、感触が残る腕が気になる。
――ったく!
自分に言ったのか、義母に毒づいたのか判断に苦しむ。
「貴照さん、コーヒー
メゲもせず、キッチンに立とうとするので背中から肩を掴んで、
「欲しかったら自分で淹れるから、、、」
言いながら背中を押し、いかにも息子が親に対してウザそうに対応する感じを出す。
そうはしているが本音を言うと、いつ押し倒してしまうか怖くなる時がある。
そうしないための
それでも、特に今みたいに仕事を終えたばかりで“御祓いハイ”になってる時は、欲情も“ハイ”になっている。
女性が眼の前に居たなら、誰だろうが三大欲求の一つを満たすためにその身体に
「いやん解かったから、そんな強う押さんといて~なぁ、、、」
――知るか!
一気に玄関まで押す。
「貴照さん、痛い!」
玄関まで、強気で押し切るつもりだったのに、、、。
「もう、、、貴照さん、痛いわぁ」
そう言って、義母は甘えた声を出す。
少し見上げるように、貴照を見つめる。
――これ、、、だ、、、
全身鳥肌が立つ。
気付かれただろうか?
欲情している事を、、、。
パリピ親父より17歳下。
貴照より、ひと回り上。
それでも、関係ナシにカワイイと思わせる。
年齢を知らなければ、自分と4~5歳しか変わらないんじゃないかと思ってしまう。
そんな義母に、顔を両手で掴まれた。
「貴照さん、キライにならないでね、、、」
必ず言う、義母の口癖。
スナックでチーママしているところを、親父に
子連れで来た義母、親父以外に
なのに、沖縄に飛んだ親父。
そうなると、意地でも
連れて来た娘との生活が
しがみ付いてでも、この生活を手放す訳にはいかない。
親父が居ない今、
「
不意に抱きしめられた。
背筋に、電流が
ほんの、2秒の出来事。
――くっ、、、アカン!
引き離そうと貴照が動く前に、義母の身体がスッと離れる。
くす、、、。
笑った。
――笑われた?!
多分、いや、絶対バレた。
身体を密着されたのだ。
年上の女性に、バレない訳が無い。
顔が赤くなっていくのが、自分でも分かった。
クロックスを履くと、扉のノブに手を掛けながら振り返る。
「
そう言うと、やっと出て行ってくれた。
オートロックが閉まる音。
それを聞いたら、その場に崩れ落ちた。
――もう、、、疲れた、、、
ベッドまで行く気力も無くなっていた。
崩れ落ちた体制のまま玄関先で、あっという間に貴照は寝息を立てていた。