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夕飯〈透視点〉

廊下からリビングを覗いていた俺達。


そろそろ、入らないと怪しまれる。


それに、キッチンに行くには必然的にリビングを通らなきゃ行けない。


さも、今帰ってきた様なそぶりでリビングに入った。


もしかしたら、栢山先生は気づいてたかも知れないけど。


「ただいま」


「あ!! お帰りなさい、遅かったね?」


桜香はやっぱり気付いてなかった。


「そぉか?」


とぼけてみる。


「うん」


「そんな事ないだろ?」


とりあえずごまかした。


「ぅ~ん……まぁいっか」


「ねぇ透!!


お知らせがあるんだよ」


何の事かわかっていたけど敢えて知らないフリをする。


「何かあったのか?」


あくまでも、知らないフリ。


「何か嬉しそうだな♪」


よかったなと心の中で呟いた。


「うん。


僕今凄く幸せな気分♪」


本当によかった。


「どぉしたんだよ?」


「かや……違った!!

李雄がね、僕と付き合ってくれるって///」


名前呼びになったのか。


「良かったじゃん」


照れてる照れてる。


「うん//////」


「おめでとう♪」


するとそこには、龍也が加わって来た。


「おめでとうございます♪」


ニコニコと笑う龍也は自分事のように嬉しそうだ。


「有難うございます//////」


「今日はお祝いですね♪


私が今、美味しいご飯作りますから待って下さいね」


笑顔でキッチンに行った龍也。


「九重先生、料理出来るんですか?」


栢山先生の質問にニコニコ顔から得意顔になった。


「はい」


俺達三人は龍也が飯を作ってる間他愛もない話しをして盛り上がって居た。


主に小さい頃の俺と桜香話しだけど。


「龍也の飯はプロ級何だぜ」


俺は自慢げに言った。


「うゎぁ~楽しみ♪」


わくわくしてる桜香と

驚いてる栢山先生。


「マジか? 桜香と一緒で楽しみだ♪」


最初は俺の言葉に驚いてたけど、今はわくわく顔になった。


「新庄はしょっちゅう此処に来てるのか?」


「そぉだな、週一で来てる」


いつの間にか敬語は外れている。


「毎週金曜か土曜に居なかったのは此処に来てたんだ?」


「まぁな……」


「それに、透のお弁当は中学生の時から僕が作ってるんだから♪」


「桜香も料理出来るのか?」


栢山先生の二度目の驚き顔。


「失礼だなぁもぉ!!」


「あはは♪ 桜香、むきになるなよ」


「何で桜香が新庄の留守事情知ってるんだよ」


ただの友人なら普通は休日の留守事情なんて知らないだろ。


「だって僕達、幼稚園から一緒の幼なじみだもん」


だけど、小さい頃から一緒の俺たちは違う。


「そぉなのか」


「うん」


「途軒君も料理出来るんですね」


「九重先生」


いきなり、声をかけられてビクッと肩がはねた。


「何だか、少し妬けますね……」


「えぇ!?


そこは、妬く所じゃないですよ……」


「それに、九重先生のお料理はプロ級だと透が教えてくれました。


そんなお料理に僕のお弁当なんて敵いませんよ(焦)」


慌てる桜香。


「途軒君……」


呼ばれて、何か閃いた顔をした。


「本当は九重先生が透のお弁当作りたいんですよね?」


今度は桜香がニヤリと笑い、龍也が慌て出した。


「あ、いや…… そぉ言う訳では……」


「さっき、僕に嫉妬すると言ったのはそぉ言う意味じゃないんですか?」


図星をつかれた龍也は料理の手を止めて黙ってしまった。


「はぁ~ そぉです……


本当は私が透のお弁当を作りたいんです」


観念したように菜箸を置きながら龍也が白状した。


「ゃっぱり♪」


何故か、桜香は勝ち誇った様な笑顔だった。


「その話はおしまいにして、料理運ぶの手伝って下さい」


無理矢理、話しを終わらせた。


「分かった。


俺、龍也の手伝いして来るから二人はのんびりしててくれ」


俺が立つと「僕も手伝うよ?」

と言った桜香を座らせた。


「良いから、栢山先生と待ってて」


「分かった」


龍也の顔が最初ビックリした顔になり次に笑顔になった♪


「本当ですか? 途軒君」


「はい!!」


桜香も笑顔で答えた。


龍也が元気になって良かった。


「他のお料理も美味しそうですね♪」


何故か桜香が楽しそうだった。


「運ぶの僕も手伝いますね」


返事をする前にさっさと持ってってしまった。


「透、早く!! 僕お腹すいたよ」


両手に料理を持ちながら、早く早くと急かされた。


「そぉだな」


キッチンに残ってる料理を持って桜香と一緒にリビングに行った。


「うん、だから早く!! 九重先生も!!」


「そぉですね、先に行ってて下さい。


私もすぐ行きますから」


洗い物を重ねてシンクの中に置いた。


「はい」


「李雄、九重先生のお料理美味しそうだよね♪」


テーブルの上に並んだご馳走。


栢山先生も目を輝かせて料理を見ている。


「ぅゎぁ、これ全部九重先生が作ったのか?」


栢山先生の目までキラキラしてる。


「そぉだって」


二人して楽しそうだ。


「凄いな!!」


「うん、僕には無理だょ(苦笑)」


「そんな事ありませんよ」


飲み物を置きながら龍也が桜香に答えた。


「練習すれば作れる様になりますよ」


「それに、途軒君は料理お上手だと思いますよ?」


いきなり言われて桜香は首を傾げた。


「え?」


「透のお弁当を何度か拝見しましたが

まさか、あれを途軒君が作ってるとは思いませんでした……


何時も、美味しそうだな

と見ていたんですよ」


「有難うございます。


あの九重先生僕に、色んなお料理教えて下さい!!」


桜香が龍也に弟子入り志願!?


「良いですよ♪」


ついさっきまで嫉妬してたのにあっさりと了承したな。


「さぁ座りましょう」


桜香は栢山先生の隣俺は龍也の隣に座って、四人での食事が始まった♪


桜香と龍也は料理の話しで盛り上がっていた。


他愛もない話を沢山して、龍也と二人の時よりも賑やかだ。


「ねぇ、透達は何時から付き合ってたの?」


龍也との話しが終わったらしい。


「何時からだっけか?」


本当はちゃんと覚えてるけどわざと忘れたフリをしてみた。


「透、酷いです、忘れたんですか?」


期待を裏切らない反応をサンキュウ龍也。


「そぉ、むきになるなよ、忘れるわけないだろう?」


「去年の夏休み明けから、付き合ってる」


あの頃は色々あったな。


「じゃぁ、もうすぐ一年だ♪」


「そぉだな」


しみじみ思う。


あいつを追い出せてよかった。


「どっちから告白したの♪」


かなり楽しそうに訊いてくる桜香。


「私ですよ」


意外ですって顔をした栢山先生と桜香。


二人とも、俺から告白したと思たみたいだ。


「意外です」


う~んと考え初めた龍也。


「そぉですか?」


「俺も意外でした。


てっきり新庄から告白したのかと」


二人に同じことを言われますます、考える仕種をした。


「栢山先生まで……」


「龍也ってば言われてやんの」


二人に意外って言われてるし(笑)


「透……」


いい歳して頬っぺた膨らますなよ。


「悪い悪い」


あ~笑った笑った


「でも、嘘じゃ無いぜ龍也から告白して来たんだ」


「透の何処が好き何ですか?」


そういえば訊いたことなかったな。


「……全部ですけど強いて言うなら優しい所ですね。


私が透を好きになったきっかけは、慰めて貰ったから何です」


あの時のか……


「透が先生を慰めた? 何でまた……」


気になるよな。


「それは……」


言いづらそうな龍也。


確かに"あの事"を誰かに言うのは抵抗があるかもな。


同じ教師に"イビられてた"なんて……


「その話はまた日を改めてでもよろしいでしょか……」


顔面蒼白になりかけてる龍也を見て、二人も

感じるものがあったのかもしれない。


「分かりました」


「せっかくのお料理が冷めちゃいますね、今はご飯を食べましょう」


落ち着こうと無理して意味なく動こうとする龍也を座らせた。


「そぉだな、冷めちまったら勿体ない」


「「「「いただきます」」」」


やっと、飯が食える。


テーブルいっぱいいっぱいのおかず達。


卵焼きに青椒肉絲。


胡瓜の酢の物に茄子のお味噌汁。


煮物にサラダ。


炊き込みご飯。


本当に豪華だ。


下ごしらえは昨日の内に全部やったらしい……


流石龍也。


夕飯を食い終わり、一時間程経った頃、

ろそろ帰ろうと思い桜香に声をかけた。


「桜香、そろそろ帰ろうぜ」


「そぉだね」


携帯の時計で時間を確認しながら桜香が答えた。


「龍也、栢山先生、俺達そろそろ帰る」


「「え!?」」


そんなに驚くことか?


「二人とも、もぉ帰るんですか?」


「時間も遅いですし、電車が……」


実はこの町の電車の終電が十時と有り得ないくらい早い。


三駅とは言え早く帰るに越した事はない。


そこで、龍也が口を開いた。


「私が二人を送りますからもぉ少し此処に居て下さい……」


悲願するような目をされ俺は断れないが、今日は一人じゃない。


「桜香、どぉする?」


「九重先生、家まで送って頂けるんですか?」


確認しているが目を見ればわかる。


本当は桜香も居たいらしい。


「はい」


「分かりました後一時間程は居ます、透もいいでしょう?


「イヤ、良いけど……」


「よかった」


俺たちの返事に嬉しそうだ。


「有難うございます」


少し暗い顔をしていた龍也が途端に明るい顔になった。


栢山先生も心なしか嬉しそうだ。


「ねぇ李雄、月曜日から普通にしてられるかな…」


「桜香…」


心配そうな声で栢山先生に訊く。


「国光先生の事もあるし、僕、絶対ヤキモチ妬くよ」


「俺だって、桜香はモテるから心配だ」


バカップルめ。


「そんな事ないよ」


「透と九重先生、協力してくれる?」


当たり前だ。


「任せとけ」


「勿論ですよ」


やっと両想いになったんだから幸福になってほしい。


「九重先生、桜香で良いです」


つにい、桜香が我慢できなくなって言った。


「じゃぁ、私の事も龍也で結構ですよ。


いっそのこと、皆名前で呼び合いましょう」


「良いなそれ」


便乗してみる。


「でしょ? 決まりですね」


学校では呼べないけど四人で居る時くらいはいいと思った。


その後も沢山色んな話しをしていたら時間が迫っていた……


「おや、時間が経つのは早いですね……」


時計を見て龍也が呟いた。


「約束通り家まで送りますね」


「ついでに俺も送ってくれないか」


栢山先生も送ってほしいみたいだ。


「李雄もですか」


「あぁ」


仕方ないですねと言いながら、どことなく嬉しそうだ。


「良いですよ♪


だだし、二人を送った後になってしまいますが……」


「悪いな」


「友人に遠慮は無しです。


それから、桜香君は敬語は無しですよ?」


敬語なしと言われ桜香は慌てた。


「李雄は分かりますけど僕もですか?」


「ほら、言ってる傍から敬語になってますよ?


そぉです、桜香君もです。


分かりましたか?」


念を押され、たじろぎながらも次の返事は敬語じゃなくなっていた。


「う、うん……」


「そんなに緊張しなくても、透と話してる時みたいに話せば良いんですよ♪」


そう言われてなんとなく、コツを掴めたみたいだ。


龍也の車の中でそんな話をした。


着いたのは俺ん家。


桜香ん家は家から三軒先。


歩いて帰れる距離だ。


車を降りて龍也に桜香が礼を言った。


「龍也先生、今日は有難う。


ご飯、美味しかった♪ごちそうさまでした」


「お粗末さまでした。


こちらこそ大したお構いも出来ずに……」


「龍也先生に李雄、ありがとう。 またね」


桜香が栢山先生の頬にキスをした。


「じゃぁな」


「メールするね」


そんな会話が微笑ましい。


「待ってる」


「龍也、ありがとうな」


俺も礼を言った。


「いえいえ、私は李雄を送りますのでまた月曜日に」


「あぁ、じゃぁな龍也」


「はい、また」


こうして、俺達は家に帰って来た。


俺ん家は親父が出張の為真っ暗だ。


「僕も帰るね、また月曜日に学校で。 おやすみ」


三軒先の自分ん家に向かって歩き出した。


「おやすみ」


桜香も自分の家に帰って行った。

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