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涼子、かつての旧友と再会する。

同時刻の昼休み、梓が新たに部員を1人の勧誘を成功した事をまだ知らない涼子は1人中庭のベンチに座りながら、購買部で買った焼きそばパンを食べながら、午前中の部員勧誘に関しての1人反省会をしていた。


涼子{はぁ……午前中は梓の強面な面構えのせいで、初っ端から誰1人も入部する奴が来ない…。あのギャルコンビも、一応は自分達の所属してるクラスの方から探すって伝えられてるが、余り期待しない方が良いと思うな……。}


女の声『良いからさっさと来いやコラァ!!』


涼子「……あん?」


中庭の何処からか、女の怒鳴り声が大きく響かす、この頼館高校に通う生徒の大半は地元民だが、その一般科に属する約6割の生徒は質の悪そうなチンピラなら兎も角、名の有る不良などが通っていたりもする。だから、カツアゲに暴行沙汰、挙句の果てに町中でのバイクでの暴行など色々と、今のやり取りの内容を耳にしたとなると、また何処ぞの不良生徒が誰か弱い奴を連れ出して何かしようとしてる見たいだな。


声の方は近いと、中庭内の周辺を見渡すと何か校舎裏へ向かってる柄の悪そうな4人の女子生徒達が私と同学年らしき気弱な男子生徒を連れ出してる。


あーー。面倒臭いなあ、しかも運悪く私以外中庭には居る奴は誰1人も居ない、仕方が無いと私は溜息してから、急ぎお昼を食べ終えて奴等の後をこっそりと尾行する。


校舎裏にて、4人の不良女子いや、正確には3人の女子が地面に倒れてる1人の男子生徒を数回程に蹴り続ける。けど、後ろ姿の残り1人の奴は手出しして来ない、恐らく此奴が4人組のリーダーだろう。背は恐らく170センチ超えの背中に届きそうな荒れた長髪。肉付きもある。


不良女子A{右隠れ前髪}「オラァ!!さっさと金を出しやがれ!!」


不良女子B{ニット帽}「お前は金を出す事とウチ等のサンドバッグになるしか道はねぇんだよ!!」


おいおい、此奴等、暴行しながらカツアゲを強要し続ける、不味いな、これ以上エスカレートしちまったら犯罪沙汰になっちまうと察した私は直ぐ様にスマホのカメラアプリで動画撮影をこっそりと開始する。


距離が近いと感じ、気付かれてしまうと思った私は1歩だけ後退りしようとした途端、パキッ!と私は小枝を踏んでしまう。


不良女子A「っ!誰だ!!」


涼子「っ!!」


4人組が直ぐ様に私に気付いたか目線を此方に向ける、止むを得ないと察した私は中央突破がてらに不良の1人に突進させて、突き飛ばす。


不良女子B「ぐあっ!?」


涼子「おい!立てるか?さっさと逃げろ!」


立たせた男子は私に何も言わずに御礼を言うと直ぐ様に逃げ出して行った。さて、この不味い状況はどうする?4人組は私を逃さない様に完全に包囲する。


不良女子A「てめぇ!良くも邪魔しやがったな!!」


不良女子B「この落とし前、てめぇの身体で痛め付けてやる!!」


3人の不良女子は一斉に私に向かって殴り掛かろうとする、殴られると思った私は、身をしゃがませながら眼を積むってしまう。


………あれ?殴って来ない?いや、ていうか痛みすら感じ無いぞ?私は眼を開けて目の前に起きた光景を確認し私は驚いた。


不良女子リーダー「………。」


長身のリーダー各の不良女子が私を守ろうかと3人の不良女子達に立ち塞がり、内1人の拳を右手で受け止めていた。


不良女子C「ね、姐さん、どうして!?」


不良女子B「そうですよ!こんな奴、直ぐに痛め付けてやりましょうよ!!真澄姐さん!!」


涼子「真澄……!!」


私は真澄と言う名前に反応したか、リーダー各の後ろ姿を良く見る、昔の記憶、自分のリトル時代の記憶を思い出す、所属していたチームの女エースで、其奴もあのリーダー各と同じく小学生とは思えない背の高さで、黒い肌だった。


けど、彼奴はを気にチームを抜け、野球を辞めて、親の仕事の都合で引っ越して行った。彼奴とそのリーダー各の後ろ姿が何故が重なり、間違い無いと察した私は其奴の名前を呼んだ。


涼子「………マジかよ、やっぱお前だったか、真澄。」


真澄と呼ばれた長身の黒髪の不良女子生徒は私を見て直ぐ様に眼を逸らす。すると取り巻きの不良女子達が睨みながら私に近付く。


不良女子A「おい、お前何だよ?真澄姐さんに急に叫び掛けて、生意気じゃねえか!?」


不良女子B「そうだよ!此奴さっさと痛め付けて…。」


すると真澄は自分の取り巻きを制止しながら不良女子達に言う。


真澄「止めろ。兎に角下がれ。」


不良女子A「えっ、ま、真澄姐さん…此奴の事、知ってるんすか?」


真澄「……お前ら、席を外せ。」


不良女子B「え、で、ですが…。」


真澄「さっさと消えろって言ってんだろ!!同じ事を言わせるな!!」


すると取り巻きの不良女子3人は『はいっ!』と大きな声で返事をしてから、直ぐ様にその場を去る。すると真澄は涼子に向かって頭を下げて謝る。


真澄「ごめん、驚いたよな。あの子たちは私が頼館高校に入学する前から出来たダチなんだ。」


涼子「そうか。………久し振りだな、何時、この街に戻って来たんだ?」


真澄「冬の頃に、父さんと母さんが離婚して、母さんの地元であるこの街に戻って来たんだ。」


黒崎真澄くろさき・ますみ

私の小学生の頃からの幼馴染で、リトル時代、同じチームに所属していた女エースにして、かつての相棒、小学生とは思えない長身だが、今でも尚、相変わらずの背の高さだ。175は行ってるだろう。


涼子「そうか、にしても、かつての仲間だった奴が今では不良とはな、やっぱりあの事件が切っ掛けで辞めたのか?野球を。」


真澄「…ああ、そうだよ。あの出来事以降、野球何て糞くらえだ。……お前はまだ野球やってんのか?涼子。」


涼子「そうだ。今、私は梓と一緒に女子野球同好会をやってる。覚えてるか?小学生の頃、同じクラスだった。」


真澄「知ってるさ、村上梓だろ、何時も応援席で私達のチームの試合を観に来てた彼奴の事だろ。にしても、女子野球同好会か…。で、お前は何で此処に居るんだ?」


涼子「……中庭でお昼を食べてた時に、お前等を見掛けてな、つい、な。」


真澄「そう、わかったなら用事は済んだろ。さっさと消えろ。私も、彼奴等見たいにお前を暴行するかもしれないぞ。」


そう言いながら真澄は私を睨み付けながら、右拳をパキポキと鳴らす、これ以上留まるのは駄目か…。私は何も言わずに校舎裏から立ち去ろうとする、しかし、私は足を止めて真澄に言った。


涼子「……実はさ、私達、女子野球部を設立する為に人数集めてんだ。もし、もしもだ。またお前が野球やるって思いが残ってるならさ、何時でも私に声を掛けてくれ。待ってるから」


そう言い残し、私は真澄の元から立ち去る。


涼子が校舎裏から消えると、真澄はその場に座り込んで呆然とした表情で空を見上げる。数年前の出来事が真澄の頭の中で走馬灯のように駆け巡る。


そして数年前、涼子と真澄は同じリトルリーグのチームで野球をしていた仲間だった。両者はお互いにライバルであり、親友だった。当時の真澄はエースで四番打者、涼子は無論、捕手だった。真澄は自分より野球が上手い涼子に内心嫉妬していたが、同時に最高の親友として涼子を慕っていた。


しかし、そんなある日。


2人の所属するリトルリーグチームが大会決勝戦を迎える。試合は互いに譲らず延長戦まで進む。延長9回裏2アウトランナー3塁の状況。真澄はマウンドで深呼吸をして、涼子を見つめる。


何も言わずに無言で縦に頷く涼子を見て、真澄は全力の投球を投げた。しかし、長時間での試合による疲れが溜まったのか、汗で指が滑り、球は相手打者の頭に当たりそのまま倒れてしまう。


結局、その打者は病院に搬送され、幸い大きな怪我はなかったものの、暫くは安静にしなければならないという診断を受けた。しかし、この事故が原因で真澄は精神的ショックを受けてしまい、暫くの間、否、現在まで投球が出来なくなった。


この様な事情で、真澄は野球を辞めざるを得なかった。そうして野球を辞めた後、父親の仕事の都合でこの街を離れ、以降、彼女は徐々に荒れた生活を送るようになり、今では不良として有名になったのだ。


1人になった真澄は空を見上げながら、本音を呟いた。


真澄「………私だって、あんな事故が無かったら本当は。」

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