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原田金物店ダンジョン [1/3]
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鑑定カメラをつけたまま、ジュリエッタたちは二階にあがると、表記は[2/3]に変化する。
『どうやら階層のことらしいね。全部で三階らしい』
「ダンジョンにしては小さいのね」
『場所によって違うんじゃないの?』
セリオンによって、スマートフォンに撮影された名も知らぬ彼らの映像が脳裏によぎった。
演劇の舞台のようににぎやかに登場して、悲劇の物語のように退場していった彼ら――。
「ジュリエッタ様、あれはあのゴブリンとかいう」
鑑定カメラにも、モンスターの上にゴブリンの表記がある。
「叩きのめすだけよ」
「はい!――吹き荒べ、風よ、刃となりて我が敵を断て──
エリスが魔法を詠唱すると、目の前のエリア全体のゴブリンたちに風の刃が襲いかかった。エリスはその上から、傷が浅いものから戦斧で刻む。
ジュリエッタは隣のエリアに踏み込むと、その拳の衝撃波と共にゴブリンの頭部を破裂させていった。
ジュリエッタには聖なる魔法がある。だが、基本的にジュリエッタは身体強化魔法で、敵をボコ殴りするのが基礎スタイルだ。
D端末にはない、魔法世界からきた二人だけの秘密の能力である。
倒した敵はやはり魔石に変化した。いくつか棍棒も落ちているが、スマートフォンの画面に出てたものとは違い、木の棒だ。
途中D端末が鳴ったが、もうひとつの刀がオークションから売れた通知だった。
『あとはボスエリアだけだよ』
「ホブゴブリンと出ています」
他のゴブリンとはサイズの違うホブゴブリンは、弓を取り出すと矢をつがえる。
唸った弓矢を、ジュリエッタは受け止めて、へし折った。
「こんなひょろひょろの弓矢に当たるわけないでしょ」
第二矢を構えるホブゴブリンより、ジュリエッタの動きの速さが越える。
風を引き裂く音がして大きな弓矢ごと、ホブゴブリンの体に大きな穴が開いた。
倒れ込んだその体は、魔石と弓に変化する。
とりあえずジュリエッタはマジックバッグにそれを放り込んだ。
「ふうっ……こんなものかしら」
『ポイントを見せてくれる?』
ジュリエッタとエリスはマイページを開いた。
ジュリエッタは70ポイント。エリスは60ポイントだった。
『刀がオークションで売れて40ポイント。あとは倒した数を数えてたけどおよそ20体で1ポイントずつ。ボスで10ポイントってとこかな……エリスはなんかポイント減ってない?』
「先程のスライム階層から移動するとき、
賢者の深いため息が聞こえる。
『あのさぁ、生存ポイント貯めたら?ってボク言ったよね』
「まだ階層あるじゃない、ねっエリス」
「ええ、そうですとも」
『能天気だなぁ、もう』
せっかくなので、ポイントをまた振り分けする事にした。
ジュリエッタは器用にまた全振り。エリスもまたジョブに全振りする。
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スキル/武器生成(小)防具生成(小)アクセサリー生成(小)
体力:LvE
筋力:LvE
敏捷:LvE
防御:LvE
器用:LvC
走力:LvE
幸運:LvE
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スキル/刀剣(小)両手剣(小)モーニングスター(小)サブマシンガン(小)短剣(小)拳銃(小)
体力:LvE
筋力:LvE
敏捷:LvE
防御:LvE
器用:LvE
走力:LvE
幸運:LvE
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『ジュリエッタもエリスもスキルをあげないと。せっかく器用をあげても、武器生成が弱かったら意味無いでしょ。エリスも扱う武器増えたんだから、スキルあげないと』
「確かにそうね……」
「このさぶましんがんいうのは何でしょう?拳銃もわかりません」
セリオンが分かりやすく銃の構造を説明し出したのだが、エリスはとりあえずサブマシンガンがモンスター駆除の広範囲に向いた武器ということだけを理解した。
「では、さぶましんがんという項目を育てます」
「私もスキルを育てるわ」
あの二人には武具も送りたい。
いいタイミングで送れるかどうかはセリオン次第だが。
合流する前に、新たな目標が加わった。