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第13話 聖女とメイドのバトルパターン

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原田金物店ダンジョン [1/3]

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鑑定カメラをつけたまま、ジュリエッタたちは二階にあがると、表記は[2/3]に変化する。


『どうやら階層のことらしいね。全部で三階らしい』

「ダンジョンにしては小さいのね」

『場所によって違うんじゃないの?』


セリオンによって、スマートフォンに撮影された名も知らぬ彼らの映像が脳裏によぎった。

演劇の舞台のようににぎやかに登場して、悲劇の物語のように退場していった彼ら――。


「ジュリエッタ様、あれはあのゴブリンとかいう」

鑑定カメラにも、モンスターの上にゴブリンの表記がある。


「叩きのめすだけよ」

「はい!――吹き荒べ、風よ、刃となりて我が敵を断て──疾風刃しっぷうじん


エリスが魔法を詠唱すると、目の前のエリア全体のゴブリンたちに風の刃が襲いかかった。エリスはその上から、傷が浅いものから戦斧で刻む。


ジュリエッタは隣のエリアに踏み込むと、その拳の衝撃波と共にゴブリンの頭部を破裂させていった。

ジュリエッタには聖なる魔法がある。だが、基本的にジュリエッタは身体強化魔法で、敵をボコ殴りするのが基礎スタイルだ。


D端末にはない、魔法世界からきた二人だけの秘密の能力である。

倒した敵はやはり魔石に変化した。いくつか棍棒も落ちているが、スマートフォンの画面に出てたものとは違い、木の棒だ。


途中D端末が鳴ったが、もうひとつの刀がオークションから売れた通知だった。


『あとはボスエリアだけだよ』

「ホブゴブリンと出ています」


他のゴブリンとはサイズの違うホブゴブリンは、弓を取り出すと矢をつがえる。

唸った弓矢を、ジュリエッタは受け止めて、へし折った。


「こんなひょろひょろの弓矢に当たるわけないでしょ」


第二矢を構えるホブゴブリンより、ジュリエッタの動きの速さが越える。

風を引き裂く音がして大きな弓矢ごと、ホブゴブリンの体に大きな穴が開いた。


倒れ込んだその体は、魔石と弓に変化する。

とりあえずジュリエッタはマジックバッグにそれを放り込んだ。


「ふうっ……こんなものかしら」

『ポイントを見せてくれる?』


ジュリエッタとエリスはマイページを開いた。

ジュリエッタは70ポイント。エリスは60ポイントだった。


『刀がオークションで売れて40ポイント。あとは倒した数を数えてたけどおよそ20体で1ポイントずつ。ボスで10ポイントってとこかな……エリスはなんかポイント減ってない?』

「先程のスライム階層から移動するとき、刃の戦場ブレイブ・オーケストラに振り込みましたから」


賢者の深いため息が聞こえる。


『あのさぁ、生存ポイント貯めたら?ってボク言ったよね』

「まだ階層あるじゃない、ねっエリス」

「ええ、そうですとも」

『能天気だなぁ、もう』


せっかくなので、ポイントをまた振り分けする事にした。

ジュリエッタは器用にまた全振り。エリスもまたジョブに全振りする。


――――――――――――――――

ひじりジュリ レベル/2 ポイント0

創造の右手クリエイティオ・デクストラ

スキル/武器生成(小)防具生成(小)アクセサリー生成(小)

体力:LvE

筋力:LvE

敏捷:LvE

防御:LvE

器用:LvC

走力:LvE

幸運:LvE

――――――――――――――――

鳴渡めいどエリ レベル/2 ポイント0

千手武神オーバーアームズ

スキル/刀剣(小)両手剣(小)モーニングスター(小)サブマシンガン(小)短剣(小)拳銃(小)

体力:LvE

筋力:LvE

敏捷:LvE

防御:LvE

器用:LvE

走力:LvE

幸運:LvE

――――――――――――――――

『ジュリエッタもエリスもスキルをあげないと。せっかく器用をあげても、武器生成が弱かったら意味無いでしょ。エリスも扱う武器増えたんだから、スキルあげないと』

「確かにそうね……」

「このさぶましんがんいうのは何でしょう?拳銃もわかりません」


セリオンが分かりやすく銃の構造を説明し出したのだが、エリスはとりあえずサブマシンガンがモンスター駆除の広範囲に向いた武器ということだけを理解した。


「では、さぶましんがんという項目を育てます」

「私もスキルを育てるわ」


あの二人には武具も送りたい。

いいタイミングで送れるかどうかはセリオン次第だが。

合流する前に、新たな目標が加わった。

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