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第63話

ロシア、カリ島


俺と雪は、ロシアンマフィア「スカー」と呼ばれる組織に連れ去られ、今、薄暗い檻の中に囚われていた。


「よう、起きたか?」

ロウが低い声で言う。手錠を付けられ、冷たい床の上で目を覚ました俺に、ロウは冷ややかな視線を送った。


「眠れるわけねぇだろうが。」

俺は力なく答える。


「それもそっか。」

ロウは小さく納得し、ガラガラとパイプ椅子を動かして、腰を掛ける。


「俺はロウだ。短い間、お前の監視を頼まれた。」

ロウは無表情でカロリーメイトの箱を投げてきた。


「カロリーメイトかよ。というか、あんたら日本語わかるんだな。」

俺は箱を受け取り、目を見開いた。


「俺たちは国際的なギャングだ。」

ロウが冷たく笑う。「これから潰す他国の言語を理解するのは当たり前だろうが。」


同刻、北京、中国

中国マフィア ジョンイル 拷問室


「ふーんふーんふーんっと♪」

センター分けの若い男、イザが無邪気に鼻歌を歌いながら棚の上の刃物をガサガサと漁っていた。


「よせ…頼む、やめてくれ…家族がいるんだ…」

スカーの工作員、ライズが必死に泣きながら命乞いをする。だが、血が頭から大量に流れ、彼の体はすでに衰弱しきっていた。


「だったら喋れよ、アホンダラがぁ!」

イザはライズを罵りながら、ナイフを振りかざした。「てめぇのその低能さで自分のボスの首を絞めてんだぞ、わかってんのか?」


ライズは弱々しく声を絞り出す。

「…ボスは、今指名手配されてる日本人を捕らえて、これから魔国ジーンに乗り込んで戦争を始める気だ…」


「その答えが聞きたかったんだよぉおお!」

イザはライズに抱きつき、血塗れの頭を優しく撫でた後、ナイフを彼の首に突き刺した。


「地獄の底でな。」

ライズの体が一瞬で硬直し、動かなくなった。


同刻、中国マフィア ジョンイル 書斎


ドアが開き、イザの弟、二ムが入ってきた。


「兄貴!ボスが呼んでる!そいつ、喋ったのか?」

二ムは急かすようにイザに聞いた。


イザはにやっと笑い、うなずく。


「はい、スカーの連中は既に日本人を捕らえたそうです。」

イザは満足げに言った。


「ボス、俺たちの武装は完璧です。どうでしょう、ここはスカーと共に魔国ジーンに乗り込み、国ごと乗っ取ってしまうのは?」


「我々の銃とエルフの魔法、どう考えても技名がない我々の銃弾が、先に奴らの腹をえぐりますよ。」

二ムは目を輝かせて言った。


イザと二ムはキラキラした目でパクに向かって話す。


「やれやれ、君たちにはかなわないわ、わかったわ。」

パクはくすくすと笑いながら、穏やかに答えた。


「やったー!皆殺しだ!」

イザがはしゃぎながら言った。


数分後、イザたちは書斎を後にした。


「なぁ、ニムー。」

イザがふと声をかけた。


「んー?どったの兄ちゃん?」

二ムが首をかしげる。


「もし、この戦争でボスが死んだら、次のボスは俺だな!」

イザが少し不敵に笑って言った。


「兄貴も人が悪いよ!」

二ムが笑いながら返す。

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