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ー天災ー107

 その二人を見ているよりも、やはり雄介と一緒にいた方がいいと思い、寝室の方に向かう。


 現在の時刻はまだ夜の八時半。寝るのには少し早いかもしれないが、たまには早く寝るのもいいだろう。


 望は今まで着ていた白衣をハンガーに掛け、ベッドに横になる。


 少し前に雄介はベッドに入っていたが、望の寝るスペースを空けており、すでに寝息を立てていた。


 望は雄介の横に寝ると、頭の下に両腕を置いて二段ベッドの天井を見上げる。


 何だか今日も身体は疲れているのに、寝れないような気がする。


 そうだ、どうしても雄介のことを考えてしまうからなのかもしれない。


 身体の方はもう疲れていて限界なはずなのに、脳の方は休ませてくれないようだ。


 それから二十分ほど経っただろうか。裕実も和也もベッドに入ってきたようで、二段ベッドの上へと上がっていく二人を目で追っていた。


 ソファでの会話はあまり聞こえてこなかったが、多分望が寝室に向かってからも二人はイチャイチャとしていたのだろう。


 そう思うと、望自身も段々と切なくなってきた。


 そうだ、またいつ雄介が恋人であることを考えると、雄介がいなくなる日がくるかもしれない。


 あの日、突然雄介がいなくなってしまってから、望は雄介に会いたくてたまらなかった。


 一緒に住み始めてからは、毎日のように会えると思っていたのに、全く雄介と会えない日々。そして突然の引越し。ある日から、雄介の気配が全く感じられない日々を送っていた望。


 気配を感じるかどうかで、大きな違いがあるように思う。一緒に住んでいる時は、例え雄介が仕事でいなくても、なんとなく気配を感じていたのだが、雄介が転勤になってからは、全く雄介の気配がなくなってしまっていた。


 望の中で、雄介の存在はますます大きくなっていったのだろう。

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