和也と裕実が行ってしまった後、雄介は望の後ろからひょっこりと顔を出す。

「裕実の奴、大丈夫なんかいな？」

「大丈夫だろ？　和也がついているんだし」

「ほなら、俺らも一緒に風呂入ろ……」

「はぁ？　何言ってんだぁ？　さっき、今日は一緒に入らないって言ったじゃねぇか」

　雄介は一つ息を吐くと、

「和也たちはもう上に行ってもうたんやで、今はもう二人きりなんやから、もう、ええやろ？」

　望は間をおいてから仕方なさそうに、

「……分かったよ」

　そう雄介に寄りかかりながら答える。

「ほなら、行こうか？」

「ああ……」

　いつの頃からか、望は恋人の雄介にだけ少しずつだが素直になってきていた。二人きりの時には、まだ仕方なさそうではあるのだが、一応素直になってきているようにも思える。

　もう二人が付き合いだしてから一年以上になるのだろうか。いつまでも望が素直じゃないままでは、雄介に悪いと思い始めているのかもしれない。

　望だって雄介のことは嫌いではない。むしろ好きな方だ。本当に望は雄介のことを好きで好きで堪らないのだから、雄介にだけは甘えることを覚えたらしい。

　その望の答え方に、雄介は嬉しそうに望の頭をポンポンと撫でると、それを合図に二人は一旦、二階へ上がってパジャマを持ってお風呂場へと向かう。

　男二人では流石に狭い浴槽だが、こうして、たまに一緒に入れる日くらいは二人だけの時間を削りたくはないのだから。

　お風呂場に入ると、まずは雄介が浴槽へ浸かる。そして後から望が入って来て後ろ向きで雄介の上へと座るのが定番だ。

「しっかし、さっきの裕実はどうして逆上せてしまったんやろ？」

「俺は何となくだけど、想像つくかなぁ？」

「流石に和也やって、お風呂場ではやらんやろ？ ましてや、他人の家の風呂場なんやし」

「そもそも、あんな短時間でやれるのか？」

「和也ならやれるのかもしれへんで……」

　そうニヤニヤしながら言う雄介。