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第26話 小春って魅力的だったんだ


 小春こはると一緒にスーパーで夕食の材料を買いだしし終わり、俺達は我が家で一緒に料理の仕込みをすることとなった。


 小春こはるの方から二人にメールしてお伺いを立てていたようだ。


 一応俺も恋人二人に確認してみるが、許可はあっさりと出る。


 よほど小春こはると俺を信頼しているのだろう。その信頼に応えるためにも不誠実な事はすまい。


 今までの俺達の関係からして、そんなに色っぽい関係にはならないとは思うけど男と女だから何が起こるか分からない。


 ぶっちゃけ小春こはるは凄まじい美少女だ。


 なんで今まで気が付かなかったのか……。小春こはるの女性としての魅力はカンストオーバーレベルである。


 料理上手で気遣い上手。確かに引っ込み思案ではあるが、庇護欲をそそるという意味では好みといえる。


 愛くるしいフェイス。ロリっぽさと相反するように自己主張する大きな胸。


 そして庇護欲をそそるおしとやかな性格は、実は俺のツボだったりする。


 何よりも大きく自己主張する胸と反対の自己主張をするくびれ曲線のカーブはくびれフェチの俺の心を大きく揺らした。


 いや、今日気が付いたというべきか。


 今日のナンパの一幕で彼女の魅力に気が付いたのは、やはり俺が童貞を卒業して女体の神秘を意識し始めたからだろうか。


 女の性、つまり男女の愛し合いの素晴らしさというものを知った今の俺だからこそ気が付く事がある。


 彼女の柔らかさや愛くるしさ、俺を見つめる瞳。

 友人のそれである事をいくら自分に訴えかけても、その潤んだ瞳を向けられては勘違いをしてしまいそうになる。


 だが既に恋人のいる俺は他の女にうつつを抜かすことはリアルに不誠実だから自重せねばならない。


「ふふっ。順平ちゃんとお料理するのって楽しいね」


 そんな分かってるのか分かってないのか謎な反応を示す小春こはる


 まあ、良くも悪くも意識しているのは俺だけなのかもしれない。


 俺は小春こはるにハンバーグの仕込みを手伝ってもらいながら楽しく談話していた。


「……なあ小春こはる

「うん?」

「なんていうか、俺、お前の成長邪魔してるんじゃないかって思っちゃったんだよな」

「そんなことないよっ。昼間も言ったけど、私ずっと嬉しかったからっ。それに、普通に学校来られるようになったのだって、順平ちゃんと花恋かれんちゃんのおかげだもん」


「そっか。それなら良かった。ちょっと色々考えちゃってさ。彼女ができて舞い上がってたから、今までの小春こはるとの関係を保っていいのかどうか……」


「あはは。順平ちゃんって真面目すぎるって言われるでしょ」

「うっ……確かに二人にも同じこと言われた事がある」


「私、順平ちゃんが幸せになれるように頑張るから……」


 ん? それはどういうことだろう……?

 俺が幸せになれるように……。友人として、という意味だろうか?


 何故だが、その瞳にはそれ以上の意味が含まれているような……。そんな予感が――。


「こっっっっはるーーーんっ! 今帰ったよーんっ!」


「あ、姉ちゃん帰ってきた……」


 家中に響き渡るドデカい声で姉ちゃんが帰ってきた事を告げる。


「順平ちゃん……。私ね、順平ちゃんに感謝してる。だから今度の卒業旅行、楽しみにしててね」


「う、うん? ああ、分かった」


 話の脈絡がよく分からなかったが姉ちゃんが帰ってきてうやむやになってしまったので、その話は流れてしまった。


「あれ、なんで順平がいるの?」

「ああ。小春こはるに夕飯の準備手伝ってもらってたんだ」


「おおそうかぁ。向こうは何作るの?」

「姉ちゃんに仕込まれたハンバーグだよ。俺と希良里きらりで交代の当番をすることにした」


「あはは。有紗ありさは上達しないからなぁ」


「じゃあ俺は向こうに行くよ。ゆっくりしてって」

「うん、ありがとう順平ちゃん」


「もう行くのか順平?」


「ああ。メシ炊いたりサラダの準備とかして、その後は家の掃除するから」


「真面目だねぇ。希良里きらりに任しておけばやってくれるよあの子」

「だとしても、一緒に暮らす以上はね」


「ははは。お前のいいところだなぁ。定期的に帰ってこいよ」


「ああ」


 なんか今日の姉ちゃんは妙に優しいな。

 奇妙な感じがしたが長居するとまたイジられるので足早に希良里きらり宅に戻った。



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