薄暗い洞窟の中で、クライスはゆっくりと目を覚ました。頭が重く、視界もぼんやりとしている。どこだ、ここは……。
周囲を見回すと、そこには数多くのエルフたちがいた。ほとんどが女性や子供で、震える声で怯えている。
「魔王が私たちを食べにくる」
そんな恐怖に満ちた言葉が、洞窟の空気を支配していた。
クライスの胸に、怒りがふつふつと湧き上がる。あの蜘蛛のような魔王に捕まったのだと、記憶が蘇った。
「そうだ……俺は、あの蜘蛛野郎に……!」
拳を固め、クライスは立ち上がった。
「皆の衆、聞け!俺はアルタイル王国の王子、ロードクライスだ!」
彼の声は洞窟に響き渡り、一瞬で全ての視線が彼に集まった。
「諦めるな。まだ希望はある。俺が来たのだからな。」
力強くそう告げると、微かながらも周囲の震えが和らいだように見えた。