手近なことから散財を重ね、
サンザイン達のゼニーの力が少し高まってきた頃。
サンダーの飯店は実質サンザインの基地となり、
大掛かりなマシンはないが、
サンザインはそこを拠点として動いていた。
ムダヅカインがどこかから入手した、プログラムを使い、
(どこか秘密のルートらしく、話そうとしない)
飯店のノートパソコンが、一種のサーチのようなものになっている。
悪の節約を探す、サーチマシンだ。
「強い節約パターン出ました!」
ノートパソコンをいじっていた、エノが叫ぶ。
画面には反応の位置が示され、
その危険指数を細かく数字で示している。
「よし、サンザイン、出動だ!」
ムダヅカインが号令を下す。
サンザインたちは駆け出す。
行き先は動物園。
走って近づいていくと、
子供達が泣いているのが見える。
「どうしたんだ、一体」
ヘキが手近な子供に声をかける。
「パンダはもう来ないんだって」
「パンダ?」
ヘキが問い返す。
「死んだパンダのかわりを、レンタルするという話でしたね」
プロヴィニが説明する。
ヘキはうなずく。
「レンタルを拒んだって話か。節約のために」
ヘキは唇をかむ。
「嘘だよね、パンダは来るよね!」
「パンダはここに来るよね!」
子供達は口々に叫ぶ。
「そう、パンダは来ない」
動物園の入り口に、大人の姿がある。
テレビで見たことのあるような気がしたが、
誰なのかはわからない。
ただ、悪いゼニーの気配が、ある。
「…のっとられていますね。賄賂でしょうか」
プロヴィニが分析する。
「ごちゃごちゃしたのは、あとでもできる」
ヘキが、ずいと子供達の前に出る。
「俺はこういう節約が大嫌いだ!」
ウェイクアップ・コインを、彼等は取り出し、前に差し出す。
「散財!」
輝く色とりどりのコイン。
覚醒するゼニーの力。
彼等は戦闘モードに変身する。
より強く、より早く、より正確に、
悪のゼニーの力と対抗できるモードに。
光が過ぎ去ったそこには、
戦闘の服に身を包んだ彼等がいる。
「散財戦士サンザイン!懐守りにただいま参上!」
レッドが名乗りを上げる。
ブラック、グリーン、ホワイト、ピンク。
彼等は、そう、勇気ある散財の戦士だ。
サンザインという存在が、
人々に根付くちょっと前のこと。
そして、パンダがやってくることになる、ちょっと前のこと。