狐月華
SFポストアポカリプス
2026年05月24日
公開日
7.8万字
連載中
「お姉ちゃん、いつかまた、あの青い空を一緒に――」
隕石と共に飛来した宇宙植物《カルナ》。
その種子が芽吹いた四国は、生命の成れの果てが粉塵となって堆積する「白い死の大地」へと変貌した。
通信は断たれ、制空権は奪われ、既存の重火器は巨大な個体群《カルナ・サーヴィター》の前にことごとく沈黙した。
絶望の淵に立たされた人類が掴み取ったのは、敵の組織を組み込んだ禁忌の鎧――人型兵器《スサノヲ》。
その動力源は、人間の反射神経を遥かに超越した速度で駆動する「カルナ筋束」である。
あまりにも過激なその挙動に、人の身体は耐えられない。
ゆえに兵士たちは戦場には立たず、特殊装甲車から遠隔操作という形で、自らの魂を異形の巨神へと同期させる。
【三つの神話の名を冠する三貴機神再生計画】
■ スサノヲ :カルナ筋束で組み上げられた、狂気の戦神。
■ アマテラス:太陽神の名を冠する、人類の理解を超えた唯一の希望。
■ ツクヨミ :神を模倣し、兵器としての神を造り出す――人類が選び取った、最も禁忌の理。
瀬戸大橋のたもとに築かれた最前線・与島基地。
そこに配属された少女・篠宮美桜は、あの日から眠り続ける双子の姉・美咲を救うために戦場に立つ。
"臆病者"の眼を持つ彼女は、戦場全体の微細な「穴」を見抜くことで、死地を生き抜いていく。
だが、彼女が戦う「ヴァンガード隊」の仲間たちもまた、それぞれに譲れない「矜持」と「覚悟」を背負っていた。
圧倒的な実力で最前線を支える攻撃の要、藤堂。
翼を折られながらも、地を這う機動に再起を賭ける空のエリート、加納。
そして、陽気な振る舞いで死地の空気を塗り替える撹乱のスペシャリスト、ニック。
彼らが手にする力は、救済か、それとも破滅への引き金か。
美桜が見抜く戦場の「穴」はやがて世界の綻びを暴き出し、物語は世界の存亡を問う**「誰も救われない二択」**へと収束していく。
これは、姉を救うと願った少女が、神の名を持つ兵器の先で「世界の真理」に肉薄する物語。
削られながらも前へ進む人間たちの、美しくも過酷な戦争が、今、幕を開ける。