――神の領域を侵すな。
未曾有の大災害『バビロンの黄昏』は、愚かなる人類に突きつけられた警告だ。
だが、進化の時計を巻き戻すほどの痛みは、
はたして人類に自覚を促すに至ったのであろうか。
◇◇◇
とある米国人ジャーナリストは語る。
「西暦二千年初頭、某国の軍事化学工場の大規模な事故が引き起こした災害、後に『バビロンの
天空を覆う数多の人工衛星、レーダーの通信網はあっけなく沈黙し、
そして、疑心暗鬼にかられた者達が海底ケーブルまでをも破壊し、世に混乱が満ちた。
人類は自らが造り出した『神の目』を失い、群雄割拠の時代へと逆戻りを余技なくされたのだ。
かつて驕り高ぶった人類が、神の逆鱗に触れ『通ずる言葉』を奪われたように。
だが大いなる災い、『バビロンの黄昏』が我々人類を滅亡させなかったのは、母なる星の温情以外の何者でもないだろう。
先進国の文明レベルが数十年ほど遡り、世界中の国々が激しい混沌の中からゆっくりと復興へと向かっていたとき、瞬く間に復興を遂げ、高度なテクノロジーを保ちながらも世界に覇を唱えることなく、神々の加護を受け繁栄する国家があった。
――ミステリアスな、その国の名は、『
皇国は一世紀も昔から、『イクサガミ』と呼ばれるものに護られ続けていた。
それは兵器ではなく、人と同じ
かつての世界大戦時、亡国の危機を救ったのが、初代『イクサガミ』と呼ばれるたった一人の男だった。
それ以降、この国では『イクサガミ』システムが作られ、現在に至るまで核を使わない抑止力として機能している。
今この瞬間も『イクサガミ』たちは、隙あらば皇国に牙を剥かんとする、野心に溢れた国々に、皇国の誇る最新鋭戦艦の上から睨みを利かせているのだ。
皇国の公式発表では、現在
アメリカン・ワールドジャーナル紙 日本特派員記者
ウィリアム・J・ローガン著
『バビロンの黄昏は、人類の終焉を招くか?』より抜粋