夜11時、スマホをいじっていた和泉が、大きなあくびをした。
「もう寝ようかな……」
『じゃあワシも寝るかな』
2人で寝室に行って、布団に入った。
「おやすみ」
『おやすみー』
黒いおばけの姿になって、いつもみたいに和泉にくっついて寝る。和泉は、すぐに寝息を立て始めた。
和泉の手がワシの背中に触れてる。ワシは、和泉の手がワシに触れても、全然困った感じにならなかったことを、改めて思い出した。
触れ合って、一緒の布団の中。そう言えば、ワシ、だいぶ前に和泉に女抱かせる練習をさせようと思って、女に化けて迫ったな?
会ってすぐの頃、乳見せた時は何も考えてなかったけど、二回目に明確に迫ったときは、和泉に乳押し付けるの特に抵抗なかったな。
朝霧の忌み子の姿で同じことやれって言われたら恥ずかしいけど、でも、和泉に触ったり和泉に触られたりは多分嫌じゃないと思うんだよな。
和泉が寝入ってるのを確認してから、ワシはそっと布団から抜けて、朝霧の忌み子の姿に戻った。それでもう一度布団に入ってみて、自分の服をめくって、寝てる和泉の手をそっと自分の下腹の素肌に触れさせてみた。
……うん、やっぱり嫌な感じはしないな。別にドキドキもムラムラもしないけど、和泉なら、やろうと思ったら抱かれるのも抱くのもできそうだぞ?
何でだろうな? よく知ってる相手で、すごく優しくていい奴だってわかってるからなのかな?
うーん、でも、こいつはミクズメさんみたいなふるいつきたくなるような美女でも「好きな人としたい」って断った奴だしな。また女に化けて練習させてやるって言っても、同じ事言われて断られるかな? 前も、好きな相手以外と無理やりするのはよくない、みたいな感じで断られたしな。
ワシならちゃんと練習させてやれるのに。和泉、その辺は頑固そうなんだよなあ。しょうがない奴だ。
ワシは黒いお化けの姿に戻って、布団に入り直し、和泉の頭をそっとなでた。
お前の気持ちが好きな人に伝わればって思ってるよ。お前は本当に優しくていい奴だから、お前が好きな人は、お前と結ばれたらきっと幸せだよ。
だからさ、お前、もうちょっとその好きな人にアタックしろよ、な?