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第七話 幕切れ 狂人は理解出来ないから狂人

 縁達は病院に戻って来て、いずみの病室へと向かった。

 ベットから身体を起こして、本を読んでいるいずみ。

 サンディを見るとメガネをキラリと光らせた。


「おやおやおや! これは珍しいお客様ですね! 先程まで愛し旦那様がいましたよ!」

「ああ、リッシュの旦那か」

「旦那呼びはやめてくださいシーナさん」

「言葉って難しいね」

「で、いずみ大丈夫か?」

「はい、今回も最適解でした」

「ぶっ倒れて能力奪われるのが?」

「ええ、解説いたしますか?」

「いらん」

「あら、親友なのにつれないですね」

「おそらくだが、心労で疲れてる所を襲われたんだろ? 唯一の弱点ともいっていい」

「ええ! わかる!? 聞いてよサンディ! くっそ忙しかったんですのよ!」


 何時も丁寧な口調と対応ないずみだが、雰囲気が少々だらしなさを放っている。


「お、おう……話し方が昔に戻ってるぞ」

「馬鹿野郎です! 私と貴方と私の仲じゃんかです!」

「何があったんだよ」

「クソクレームの対応ですよ! 最近だと縁達関連でおじゃる! 縁さん達の未来を教えろとか! 世界平和の為なんだとか! あー! ムカつくでございますわよ!」

「落ち着け、メイドさんシリーズの最新刊、発売前に手に入れてやるから」

「……ムハ! 落ち着きます! 取り乱したわ! いえ、取り乱しました」

「あ、目的忘れてた、いずみの見舞いもあったんだが、聞きたい事があったんだよ」

「何でしょうか? シーナさん」

「いや何、縁はさらわれないとダメなのか?」

「ええ……その前に風月さん、お話して大丈夫ですか?」

「おっけ~」

「結びさんが元の一つに戻るのに必要だからですね」

「何で?」

「例えでいいますよ? 扉があって施錠しました、施錠の理由はおいときますよ、開ける鍵の条件が『さらわれる』って事です」

「何と無くはわかった、そのさらわれるって自作自演は駄目なのか?」

「ダメですね、捕らわれた王子様を自力で助けるとか色々とあるんですよ」

「……って、考えたら縁を連れ去る位にはそいつ自身は強いのか、勝てるかは別として」

「シーナ先生、今回の首謀者さんは縁の幸運を求めてるんだけどもさ~」

「ふむ」

「最近知り合った情報屋さんによると、本気の私とも戦いたいらしいのよ……面白いじゃない」


 風月はそれは楽しそうに笑っている、縁を連れ去さる人物を潰せるすらではない。

 強い弱いは関係無く、本気で戦いたいという人物の登場に心が踊っているのだ。


「えぇ……狂い過ぎだろ」

「理解出来ないから狂人なんじゃん、ちなみに神も」

「はぁ……あたしに言えるのは、さっさと学校に来いだけにしとくよ」

「私は……風月かスファーリア、どっちか必ず居るじゃん」

「縁だよ縁、神様関連の授業が溜まっている」

「すまん……今学園に行くと間違いなく面倒な事が起きるだろうさ、襲撃とかな」

「なるほどな」

「てか神様関連なら絆でも出来るだろ」

「お兄様、私は生徒として学園に居ます、頼らないでくださいませ」

「ま、もう直ぐしたら顔を出せるよ」

「そうだといいがな」


 たわいもない会話をしているこの時間。

 少しづづ縁が捕らわれる時間へと進んでいる。

 例え結末や結果がわかっていようとも。

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