縁達は病院に戻って来て、いずみの病室へと向かった。
ベットから身体を起こして、本を読んでいるいずみ。
サンディを見るとメガネをキラリと光らせた。
「おやおやおや! これは珍しいお客様ですね! 先程まで愛し旦那様がいましたよ!」
「ああ、リッシュの旦那か」
「旦那呼びはやめてくださいシーナさん」
「言葉って難しいね」
「で、いずみ大丈夫か?」
「はい、今回も最適解でした」
「ぶっ倒れて能力奪われるのが?」
「ええ、解説いたしますか?」
「いらん」
「あら、親友なのにつれないですね」
「おそらくだが、心労で疲れてる所を襲われたんだろ? 唯一の弱点ともいっていい」
「ええ! わかる!? 聞いてよサンディ! くっそ忙しかったんですのよ!」
何時も丁寧な口調と対応ないずみだが、雰囲気が少々だらしなさを放っている。
「お、おう……話し方が昔に戻ってるぞ」
「馬鹿野郎です! 私と貴方と私の仲じゃんかです!」
「何があったんだよ」
「クソクレームの対応ですよ! 最近だと縁達関連でおじゃる! 縁さん達の未来を教えろとか! 世界平和の為なんだとか! あー! ムカつくでございますわよ!」
「落ち着け、メイドさんシリーズの最新刊、発売前に手に入れてやるから」
「……ムハ! 落ち着きます! 取り乱したわ! いえ、取り乱しました」
「あ、目的忘れてた、いずみの見舞いもあったんだが、聞きたい事があったんだよ」
「何でしょうか? シーナさん」
「いや何、縁はさらわれないとダメなのか?」
「ええ……その前に風月さん、お話して大丈夫ですか?」
「おっけ~」
「結びさんが元の一つに戻るのに必要だからですね」
「何で?」
「例えでいいますよ? 扉があって施錠しました、施錠の理由はおいときますよ、開ける鍵の条件が『さらわれる』って事です」
「何と無くはわかった、そのさらわれるって自作自演は駄目なのか?」
「ダメですね、捕らわれた王子様を自力で助けるとか色々とあるんですよ」
「……って、考えたら縁を連れ去る位にはそいつ自身は強いのか、勝てるかは別として」
「シーナ先生、今回の首謀者さんは縁の幸運を求めてるんだけどもさ~」
「ふむ」
「最近知り合った情報屋さんによると、本気の私とも戦いたいらしいのよ……面白いじゃない」
風月はそれは楽しそうに笑っている、縁を連れ去さる人物を潰せるすらではない。
強い弱いは関係無く、本気で戦いたいという人物の登場に心が踊っているのだ。
「えぇ……狂い過ぎだろ」
「理解出来ないから狂人なんじゃん、ちなみに神も」
「はぁ……あたしに言えるのは、さっさと学校に来いだけにしとくよ」
「私は……風月かスファーリア、どっちか必ず居るじゃん」
「縁だよ縁、神様関連の授業が溜まっている」
「すまん……今学園に行くと間違いなく面倒な事が起きるだろうさ、襲撃とかな」
「なるほどな」
「てか神様関連なら絆でも出来るだろ」
「お兄様、私は生徒として学園に居ます、頼らないでくださいませ」
「ま、もう直ぐしたら顔を出せるよ」
「そうだといいがな」
たわいもない会話をしているこの時間。
少しづづ縁が捕らわれる時間へと進んでいる。
例え結末や結果がわかっていようとも。