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51. マロンのお世話係


 20日目。今日も朝ご飯を頂いて、朝から東村へ向かう。


 夜の内に情報が掲示板、wikiに掲載されて、今後のことが検討されていた。

 まずウシ1頭では、どう頑張っても現在のユーザー数を捌ききれないだろうと判断された。

 そこで、ウシをテイムして牛飼いになる人を募集した。

 今日中に高レベルプレイヤーに護衛されてメスウシをテイムする予定らしい。

 うまくいくことを祈ろう。そうすれば、混雑せずに済むかもしれない。

 掲示板などでの根回しは「警ら隊」が全部やってくれていた。


 あの武器商人の人とも連絡が付いて、東村で合流する手はずになっている。

 今日は警ら隊と私たち7人での移動になった。


 今回もトラブルなく東村に着いた。

 さっそく武器商人と落ち合う。


「おはようございます。ウエストと申します」

「ご丁寧にどうもです。私はミケです」


 皆も名乗って挨拶を交わす。

 輸送費は全額ウエストさんの給料へ。マロンの所有権は引き続きクルミで、朝の餌と水やりから輸送のあれこれまで全部をウエストさんが当面は見てくれる。

 毎日ずっとを一人では無理なので、東村で顔なじみになった露店仲間数人で管理してくれることになっていた。


「俺もレベルが低くてもデルタ町で武器の仕入れができて、それを村で売れると、ついでに輸送費も貰えるなら、願ったりかなったりです」

「そう言っていただけると、ありがたいです」


「あー。おっちゃん、わたしのマロンをよろしくたのむよ」

「まかせとけって、でもおっちゃんじゃなくてお兄さんな」


 クルミが軽めに挨拶をする。


「ワタクシこういうナイフを作ったのですが、商品にどうでしょう?」


 今度はサクラちゃんがこの前作った銅の投げナイフを商人に見せていた。


「投げナイフか。投擲とうてき武器はそれほど人気がないんだよな。でも後方からでも攻撃ができるので、予備武器として持つといいかもしれないな」

「なるほど」

「それかテーブルナイフとして売るんならNPCにも売れるかもしれない。物は試しだ。買い取るよ」

「ありがとうございます」


 値段交渉をしてナイフ10本はお買い上げになった。

 サクラちゃんのお小遣いとして共有のお財布にはいれないことにする。

 材料費とかも掛かるだろうし。


「今日から片道8,000セシルです。半額先払いです」


 さっそくウエストさんが呼びかけをして、ユーザーたちを誘導している。

 マロンに餌と水をくれるのも忘れずに行っている。


 8,000セシルという微妙な値段なのと、別に急いでデルタ町まで行く必要のない人が大半であるので、そこまで混雑せずに済んでいた。

 どうしても真っ先に行きたい人たちは、すでに傭兵を雇ってもっと高額でデルタ町へと進んでいた。

 すでにウシが増える予定も告知済みなので、お金が払えてそろそろデルタ町へ行きたい人たちだけが、結果として集まっている。


 デルタ町への一番乗りのチームおやつはどうやら、そういう傭兵仕事をして荒稼ぎしているとかなんとか噂が流れていた。


 ちょっと多いかな、ぐらいの人数で東村を出発することになった。


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