「シノさんは、ここに来てからずっと子供達が残っている。助けて欲しいと叫んでいたのよ。大声で休むこと無く叫びっぱなしだったのさ。新政府軍の奴らに毎日黙れと言って、暴力を受けていたねえ。黙らなければ食事は無しだと言って食事も与えられなかった。あたしの耳にシノさんの悲しい叫び声が今も残って消えないよ。悲痛で悲しい叫び声だった。でもね三日目あたりから声がしなくなったのさ。見張りの目を盗んでシノさんの所へ行くと、シノさんはぐったりしていた。私達を見つけると、うつろな目で言ったのさ。
『もしここにアンナメーダーマンが来たら、アンナメーダーマンに子供を助けて欲しいと伝えて下さい。子供はこの国の宝です……』
そう言っていたんだよ。その翌日にシノさんの遺体が運び出されたんだ」
「うわあああーーーー!!」
ノブ君が大声を出しました。
スケさんもカクさんも、カノンもうつむき唇を噛みしめました。
「まさか、あんた! もしかして、シノさんが言っていた子供なのかい」
ノブ君は答える代わりに大きくうなずきました。
「オイサスト! シュヴァイン!」
私は、変身してアンナメーダーマン、アクアになりました。
他の四人も遅れて変身しました。
「俺達は、アンナメーダーマンの仲間になったんだ」
ノブ君は、女性に言いました。
「正義の味方、アンナメーダーマンかい?」
女性が言いました。
「知っているのですか?」
「知っているさ。数年前テレビやSNSでよく見たからねえ。小学生をトラック事故から救ったヒーローだろ?」
すごいです。シュウ様は、そんな昔から人助けをしていたのですね。私は知りませんでした。
「おかみさん!!」
後ろの階段の入り口から、顔だけ出した女性達が言いました。
「みんな、正義の味方アンナメーダーマンが助けに来てくれたよ」
おかみさんが、嬉しそうに女性達の方に向って言いました。
「で、でも……」
「おお、そうだったねえ」
「どうしたのですか?」
「ここの女達は建物内では、服を着させてもらえない。逃走防止のため丸裸、スッポンポンなのさ」
「な、何てことでしょう。古賀忍軍の方はいませんか?」
私は、少し大きな声を出しました。
「響子様、古賀忍軍い組の四班がいます」
五人の忍者が姿を現しました。
「一人シュウ様の所へ行って、服をもらってきて下さい」
「はっ!」
一人の忍者が素早く動き姿を消した。
残った四人は、その場でまた姿が消えた。
「おかみさん、服は何とかなると思います。一緒に来ていただけますか」
「ふふふ、どこへ行っても同じ気がするのだけれど、シノさんが信じたアンナメーダーマンだ。信じて見るさね。皆はどうするね」
「……」
顔だけ出した女性達は、不安そうな表情で顔を見合わせています。
「アンナメーダーマンは、俺達子供も救ってくれた。きっとあんた達だって救ってくれる。優しい人なんだ」
ノブ君が少し涙声で言いました。
「私達も救われました。優しい人です。ここではお尋ね者ですが、ここ以外では本当に正義の味方なのです」
私もノブ君に続いて言いました。
シュウ様のもとに来れば、この女性達もきっと幸せになれると心からそう思います。
「持って来ました!!」
忍者と一緒にミサさんが来ました。
大量のパンツと男性用の、半袖の綿の肌着を持って来たみたいです。
パンツは、なんだか布の面積の少ない物が多い気がします。
階段の女性のところに持って行くと、奥に引っ込んで付けているようです。
出て来た女性は、半袖のシャツがぶかぶかで、丁度パンツを隠しています。
ノーブラのためか、胸のふくらみが柔らかで、ぽっちが2個はっきり飛び出しています。
女の私が見ても、なんだかエロスを感じます。
「これは、全部シュウ様のものですか?」
「そうなのよ。こんなに持っているなんて変態でしょ。ブラジャーもあるって言うから、色々サイズが必要だからそっちはいらない。他に無いのといったら、半袖のシャツを出したのよ。まあ見た感じ良さそうね。今日は二月なのに外は十五度以上ありそうだから、走れば汗をかくから丁度いいわね」
「ミサさん、この方達全員テレポートは出来ないのですか」
「そうね。出来たら良いのですけど、私の体力ではそれは無理です。十人を数回運んだら終ってしまいます」
「そうですか。ところで皆さん、どうしますか。一緒に行きますか?」
「……」
まだ迷っているようですが、決心したのか全員がうなずきました。
「やっと、決心が付いたのかよう」
服も着ることが出来て準備が終わり、ノブ君がほっとしています。
所々に、エッチなパンツがチラチラ出ている人もいるようですが、大人の女性だから大丈夫でしょう。
「では、行きましょう。ノブ君、先頭お任せしてよろしいですか」
「わかった」
そう言うとノブ君が、外に出て走り出しました。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
外に出て少し走ったノブ君が大声で叫んでいます。
「どうしたのですか?」
私もあわてて、外に出ました。
そこには、とんでもない光景が広がっていました。