「な、何を言っているの有田君。それじゃあ、悪党のセリフだわ。どうせなら正義の味方のように言った方がかっこいいわね」
古賀先生は有田君がちょっと、ふざけていると受け取っているみたいです。
まあ、男の子がロボに乗ったらやってみたいですよね。
わかります。なぜなら今の私は、男の子なのです。
「ふ、ふざけるなー! こっちは大まじなんだよ!! 俺はなあ、有田長太郎というのは世を忍ぶ仮の姿、本当の名前じゃねえ。本名は熱田長太郎だ! わかったかーーー!!」
「えーーーっ!!!! あ、あ、あの、あ、あ、熱田長太郎なの!?」
「ふふふ、そうだ。俺があの熱田長太郎だ!!」
有田君が有頂天になっています。
「熱田長太郎って誰?」
クラスの人達がザワザワしています。
「そうねえ、熱田長太郎って誰かしら?」
「古賀先生まで知らないのかよー!!」
クラス全員で突っ込んでいます。
あんた古賀忍軍の首領で、木田家の事は何でも知っているのじゃ無かったのー?
「くそー、なめやがって! 名古屋熱田一家、熱田一郎の長男様だよ!! 思い出したかー!」
「……思い出すも何も、全く知らないわ」
駄目ですよ古賀先生! それは余計に怒らせてしまいます!
名古屋熱田一家は加藤さん達にボコボコにされて、国外追放された人達です。木田家を恨んでいる人達です。
「ぐぬぬぬ……。ぐわああーーーーっ!!!! 許さん!! てめーらはぜってー許さーん!!!!」
熱田は、天夕改でボクシングのように構えます。相当怒っているようです。
前に出ている左拳が窓からの光を反射してキラリと光りました。
うん、さすがはとうさん、赤い天夕改は美しいです。そしてかっこいい! 最高です!
「オイサスト! シュヴァイン!」
古賀先生が言いました。
さっき紹介していた一番左にあった忍者コスチュームが黒いもやのようになり古賀先生を包みます。
おーーい、紫のエッチなパンツ、あんたのかよーー!!
忍者コスチュームが黒いまゆ玉のように先生を包みます。でも、所々隙間が空いていて中の古賀先生が見えています。
忍者コスチュームが古賀先生の服を収納したために、古賀先生が紫のブラジャーとパンツになったのが見えます。
よい子の皆さん待って下さい、しっかり見ても大丈夫です。
あれは下着ではありません。ビキニの水着です。
こんなこともあろうかと、私達はいつも水着を着けているのです。
今日も私は白いスライムの水着を着けています。
「きゃーー見ないでーー!! 水着を着るのわすれたーー!!」
先生がしゃがんで丸くなりました。
そ、そんな事を言ったら、思春期の男の子達は余計に見ちゃうでしょうがー!!
あー、すみません。ガチ下着なので、よい子は見ちゃ駄目です。
しかも、変身が終ったのに、しゃがんでいるから、紫のスケスケパンツが丸出しです。
あーでもこっちは、ガチ下着ですが忍者コスチュームの上なので見ても大丈夫です。
心なしか男子生徒のズボンの前が膨らんでいるように見えます。
古賀先生、とても綺麗だから仕方がありませんね。
ライちゃんと美代ちゃんが私のズボンを見ています。
だめですよ。女の子がそんな所を見ちゃあ。でも安心して下さい。私の本当の性別は女の子なのです。あれがないので膨らみません。
熱田まで動きが止まっています。
先生に見とれてしまったようです。
「はっ! くそーー!!」
熱田が、我に返りパンチを古賀先生に出しました。
古賀先生はしゃがんでいたために動きが遅れました。
「きゃあああーーーー!!!!」
パンチを、体の前で手をクロスして受けましたが、天夕改はパワーが違います。吹飛ばされました。
「オイサスト! シュヴァイン!」
ノブ君と、ライちゃんが変身しました。
そして、二人の忍者が透明状態から、姿を現しました。
古賀忍軍の人でしょうね。
「アンナメーダーマン、ジュニア!」
「アンナメーダーマン、ライファ!」
どこで練習したのでしょう、二人がポーズを取っています。
青い子供のアンナメーダーマンが登場しました。
そこに、二人の忍者が集ります。
遅れて、古賀先生も二人の隣に並びました。
これで、五人がそろいました。
何でしょうこのワクワクの展開。
ここはもう、名乗りを入れるところですよね。
五人が顔を近づけてブツブツ言っています。
何か決まったみたいです。
「私達、五人そろって、今日だけユニット、忍者戦隊アンナメーダーマン!!!!!」
五人が声をそろえて言いました。五人の決めポーズもいい感じにそろっています。テレビと同じです。
世にも珍しい五人の内、四人が女性の戦隊が出来上がりました。
どこから吹くのか風が四人のミニスカートを持ち上げます。
四人は急に恥ずかしそうにスカートをつまんで下に引っ張ります。
注目は美少女中学生のライちゃんでしょうか。
可愛い健康的な真っ白なパンツです。ピンクのリボンがとても可愛いです。
あとの三人は紫と赤と水色の、とんでも無くエッチな大人のスケスケレースのパンツです。
と、とうさん、いくら何でもやりすぎですよ。私には、はく勇気が出ません。一生はかないと思います。
良くテレビで、この瞬間に攻撃すればいいじゃ無いかという状況ですが、熱田も攻撃しません。
なぜなら、天夕改の首が左右に動いています。
思春期ですもんね。仕方が無いです。そして、とうさんの狙い通りです。さすがは、とうさんです。
「皆は安全な場所へ行ってくれ!!
ノブ君が他の生徒を気遣いました。私達は体育館の隅へ移動します。
「ノブ君、かっこいい」そんな声が聞こえてきます。
「行くぞ!!」
五人が、タイミングを合わせて一斉に天夕改に攻撃を仕掛けました。
カンカンカンと何度も金属音が響きますが、天夕改は体勢を崩される事すらありません。
「じゃまだーー!!!!」
「きゃあああーーっ!!」
天夕改が、右手と左手でハエを追い払うように手を動かすと、ライちゃんも三人の忍者も、ノブ君も吹飛ばされました。
「なっ!?」
五人が驚きの声を上げます。
どうやら、自分たちのイメージしていた展開と違う事に驚いているようです。
「くそう、アンナメーダーウィップ!!」
ノブ君が武器を出し鞭のようにして、天夕改の右腕に巻き付けました。
「アンナメーダーウィップ!!」
ライちゃんも同じように左腕に巻き付けます。
「忍法、緊縛の術!!」
古賀忍軍の二人は足に、同じようにロープのような物を巻き付けました。
古賀先生は胴体に巻き付けます。
天夕改は両手両足、そして胴体を拘束されました。
五人は渾身の力で引っ張りどうやら、このまま倒して拘束するつもりのようです。
「はははは! これがどうしたー! むううーんん!!」
熱田の動かす天夕改は右手と左手を振り回し、歩き出しました。
「うわああああーーーー!!!!」
ノブ君とライちゃんが宙を舞い。
忍者部隊もまるで動きを止める事が出来ません。
天夕改の強さがこれほどとは思いませんでした。
圧倒的に強いです。
「美代ちゃん、アメリ先生は?」
私の腕にしがみついている美代ちゃんに聞きました。
「英語の授業に行っています」
心配そうに戦う五人を見ながら、答えてくれました。
天夕改を止められそうなのは変身したアメリ先生だけと思いましたが、あいにく他所のクラスで英語の授業中という事です。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
とうとう全員が振りほどかれました。
体育館の壁まで吹き飛ばされて倒れています。
とうさんの作った天夕改はすごく強いです。まさに無敵、最強です。
「くっ、強い。天夕改これほどとは……!!」
古賀先生が赤い天夕改を見つめ悔しそうに言いました。