「てめぇ、この間は良くも巻き込んでくれたな!」
マイが包帯男に突っ掛かる。一方の私は唐突な再会にどうしたら良いか分からず立ち往生だ。
包帯男はばつが悪そうに頭を掻くとこう言った。
「いやあ、御免御免。僕もちゃんとお詫びしなきゃなーって思っていたんだけど、ほら、このゲーム、プレイヤーが一〇〇〇人もいるじゃん? 初日だからって皆ログインしているしさ。戻ってきた時にはもう君ら見つけらんなくって」
「ああ、それは……仕方ないですね」
このゲームでは全滅したプレイヤーはログイン前の画面に戻される。再ログインした時にはログイン地点――あの巨大な鳥居がある神社からスタートになる。後々ゲームの拡張に従ってログイン地点は増えるのだろうが、今はあの神社しかない。
なお、このゲームにデスペナルティーはない。強いて言うなら、いつどこで全滅しようとログイン地点にまで戻される事くらいか。フィールドで死のうとダンジョンで死のうと例外なくあの神社に戻される。遠征していたり何かの攻略中だったりする時は不便だ。逆に街に即座に帰りたい時には『死に戻り』という手段として使える。
「ウチのリスナーにも散々『ダッサ!』だの『これは
そうだったのか。それは何と言うか、お気の毒様だ。
「あれ? リスナーに言われたという事はあの時、私達って貴方の配信に映っていたんですか?」
「ん? ん-、映っていたっちゃー映っていたけど、映っていないっちゃー映っていないね。あの時、カメラ越しには僕以外のPCは全員、モザイクが掛かるように設定していたからさ。君らの顔も誰だか分かんないようになっていたよ」
「そうですか……」
「あ、映っていないの残念だった? それなら御免ね」
「い、いえ! そういう事では……!」
そうか、この人の配信には私が
別に誰が初めてのコラボ相手でも名誉な事だけど、ルトちゃんは私のお初だった事に喜んでくれた。彼女の笑顔を否定するような事にならなくて少しホッとしている。
それはともかく、今ここに彼がいるのなら一つ満たしたい好奇心がある。
「話を戻しますけど……その、それじゃあ、詫び代わりにと言っては何ですが……あ、貴方の名前を当てても良いですか?」