「でも、まあ……当てたのは見事だけど、秘密にしておいてくれよ。正解したからこうして変装は解いたが、一応会社には配信時以外で素顔を晒すのは止められているんだからさ。今だってまだカメラ越しには
「は、はい! 勿論です! 誰にも言いません!」
「オレも人が隠している事を吹聴する悪趣味はねえよ。心配すんな」
「そ? そんなら良いけど」
ヘラヘラと笑うラペさん。どうにも軽薄そうに見えてしまう態度だ。だけど、モザイクに音声加工とフィルターを二つも施しておきながら、更に包帯で顔を覆って変装する彼が軽薄な訳がない。軽い態度はその周到さを隠す為のものである事は、リスナーである私は前々から良く知っている。
「それで、君らも
「はい。珍しいアイテムを手に入れたので何か作れる物はないかと思いまして」
「珍しい物ねえ……ああ、もしかして昨日のロントちゃんの配信の?」
「配信、見ていたんですか?」
私がそう返すとラペさんは頭を横に振った。
「いんや、見てはいないよ。そん時、僕も配信中だったからね。後でロントちゃんから話を聞いたのよ。面白い人達に会ったって。……そうか、ロントちゃん達を助けに来てくれた二人組ってのは君らだったのか」
ラペさんが顎に指を当てて少し考える素振りをする。
「よし、じゃあ身内が世話になった事もあるし、ここは僕が奢るとしよう。
「えっ、ええええっ!? そ、そんな、悪いですよ!」
「良いから良いから。これ口止め料も込みだし、奢らせてよ。ほら、作業台の前に座って」
ラペさんに促されて木製の机の前に座らされる。すると、所員が近付いてきて机の隣に立った。
「へい、お客さん。どんなアイテムを使いたいので?」
「ええと……こ、これです」
「へいへい、【呪骨】に【呪魂】、【呪血】に【大呪魂】ね。それでしたら、お客さんの御職業だったら、こちらのアイテムなどが良いんじゃないかと思われますが」
店員が合成レシピの書かれた紙を取り出して見せてきた。この人は制作所の
提示された装備品は確かに私達の戦闘スタイルをより発展させられそうな代物だった。しかし、
「合成に必要なアイテムを持っていねえな……。欲しいのは【ファルシオン】に【金箔の腕輪】、【革の手袋】に【勾玉の首飾り】か」
「当店では装備品の販売もしていますが、御購入されますか?」
「んじゃあ【ファルシオン】と【勾玉の首飾り】だけ売って。【金箔の腕輪】と【革の手袋】ならちょうど僕が持っているから買わなくても平気だよ」
「えっいや、さすがにそこまでして貰う訳には……!」
使用料だけでなくアイテムまで奢って貰うなんて幾ら何でも悪い。ここはきちんと断らなくてはと思ったのだが、
「良いから良いから。格好付けさせてよ。ね?」
「ぴ! ひゃ、ひゃいぃ……!」
ラペさんに笑顔で押し切られてしまった。有名Vtuberの値千金の笑顔を見せられちゃ反対なんて出来ない。結局、アイテムまで頂く事になってしまった。ひええ、畏れ多い……!