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第8話

 何はともあれ、だ。

 村正からの対応は頗る悪くなるがEP回復手段は手に入れた。


「リリー、俺以外がハグする条件ではダメか?」

「|◉〻◉)……僕にメリットがないのでダメです」

「やはりこの者、焼き魚に処すべきでは?」

「|⌒〻⌒)へっへーん、やれるもんならやってみろー」

「ええい、逃げるな! 刀の錆にしてくれる!」

「|>〻<)きゃー、こわーい」


 マグマの海に逃げ出す魚類。

 追いかける村正。

 マグマの海を泳いでみせた時点で焼くのは諦めろ。

 こいつは煮ても焼いても食えない奴だ。

 その上で冷凍保存すら制御する。

 あれ、弱点ないのでは?


「ボス、火は3まで育てたが、次は何を取る?」


 パスカルの提案。

 オメガキャノンがさっきから「地、地」と煩いので地、又は大地の精霊と行きたいところだが。

 ここで一つ疑問が浮上する。


 あれ、俺ここまで役に立ってなくね?

 肝心の魔法は熱に対して無力。他にも風や雷も使えるが、精霊に対しては効果が薄かった。


 そもそも精霊に魔法が効くって話は聞いた事がない。

 ならここはオメガキャノンの話を蹴ってでも風の精霊と千切るべきでは?


 ダメ元でどれくらいスキル威力が上がるのか見てみたいと言うのもある。

 それ次第では諦めて+1大地+2に向かってもいいだろう。


「提案があるが少し良いか?」

「聞こう」


 何故かジャスミンが訳知り顔で耳を貸してくる。

 ボスをやめて晴れやかな気分なのか、それ以上に偉そうだ。


「せっかく成長できる機会を得たんだ。いっそ全部2段階まで上げてどんなものか見ておきたい。リリーのお陰で配信は順調だ」


:この男、味を占めようとしてるな

:草

:だが攻略としてそれはどうなの?


「別にRTAしてるわけでもないし良いと思うぞ? どうせ情報は全部抜かれてるんだ。攻略といっても、趣旨は俺たち寄せ集めの掲示番組が地獄と形容される地下ルートをどう攻略するかってのが主題で、最短最速っていうのは求められちゃいないだろ?」


 ここで助け舟を出してくれたのは意外なことにオメガキャノンだった。


「良いのか? お前としては大地の精霊と契約してたがってたのに」

「最終的に旨味が俺に回ってくるならそれでいい。正直俺の技も精霊に効きづらいと思ってたんだ。スキル威力+の風と契るのも案外悪くない案だと思うぜ?」

「なら風で決定だな?」

「いいと思うよ」

「私はみんなの意見に賛同するよ」

「|◉〻◉)風ですか。僕は大丈夫ですけど、皆さんは厳しいと思いますよ?」


 ここで訳知り顔の魚類が顎(?)に水かきのついた指を乗せて唸る。


「拙者は如何様な敵であろうと切り捨てるのみ!」

「|ー〻ー)うーん、これは言ってもいいものか。物理無効です」

「………」

「クソゲーじゃねぇか!」

「……魔法は?」

「|⌒〻⌒)効かなくもないですけど、焼け石に水ですよね。あはは」

「レムリアのビームなら通用するのでは?」

「|◉〻◉)ですねー。あれはスキルを光線に乗せてるので通用します。でも風の精霊は地の精霊と最低3回は契ってないと目視すら不可能です。当てることも難しいのでは?」

「レムリアの光学センサーにも引っ掛からぬ相手とは……ムー陣営の本拠地はなんとも攻略しがいのある……いや、大丈夫だ。僕ならなんとか!」

「やる気出してるとこ悪いが俺らは素人だ。万全を期していくぞ。パスカル、地、又は大地で情報頼む」

「了解した」


:いやー、クソゲーが牙を剥いてきましたね!

:ここをレムリアに与する前に攻略したクランがあるって本当?

:精巧超人だろ? あいつらはある程度のメンバーを鍛えてから攻略動画アップするから、こういうその場その場の悩みは見えてこないんだよ

:ぶっつけ本番具合がまんま俺ら

:ここまで無計画は流石に俺でもしないぞ?

:このゲーム、色々すごいけどバランスだけは悪いよな

:アキカゼさん曰く、人類向けの難易度らしいが

:あの人の言葉は真に受けちゃダメ!


「道中、通常エネミーとエンカウントしないのだけが唯一の救いだな」


:通常エネミーを殺し尽くす極悪マップやし

:ほんそれ

:精霊と契らないと立って歩くことも許されないからな

:改めて聞くとクソゲー極まりないな

:空も大概だけど地下も頭おかしいのほんと草

:空は雲の上に乗れる事が条件だから


「|◉〻◉)僕は軽いので気合いで浮きました」


:嘘をつくな、嘘を

:リリーちゃん、嘘はつかないよ。本当のことを言わないだけ

:それを嘘つきって言うんだよ!


 なんだかんだ魚類が入った事でコメント欄に統制が取れた気がする。

 適度にコメントを入れてくれるので、場がツッコミで溢れかえるのだ。


 そこに村正が食ってかかって行くので、まるでコントみたいな雰囲気だ。

 配信当初は不安しかなかったが、軌道に乗れた今は溢れたコメントを返すのも厄介だった。

 だからこうやってコメントの相手をしてくれる奴がいて助かるぜ。

 アキカゼさんの身内って点さえ除けばな。

 多分今回の配信はノーカウントだろう。


 だが、それでもいいのだ。

 今回の配信は突発でもなんでもなく、俺がある目的を叶える為に選んだのだから。


「着いたぞ、ここの奥に大地の精霊が居る」


 こいつ、後二つ契れば風に挑めるからってショートカットしやがったな?

 メガネの位置を直すパスカルはしてやったりと言う顔で俺たちを見た。

 こっちの方が撮れ高じゃないか? と言う顔だ。

 趣旨がわかってるようで結構。


 強敵に飢えてる村正、ドロップアイテムに飢えてるオメガキャノンの要望に応えるため、俺は指示を出す。

 全ては俺の計画のために!

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