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第61話 恋のおまじない

女性は恋をしていた。

生きてきた中で、一番だとはっきりと言えるほど、女性はその男に心底惚れていた。


しかし、何度アタックしても、振り向いてくれないどころか煙たがられてしまう。

それでも女性は諦めきれず、男性を付け回し、ストーカーだと言われてしまう始末。


そんな女性を見た友人が、不憫に思い、ある恋のおまじないを教えることにした。

そのおまじないは、黒魔術に近いもので、効果は絶大だが、おまじないを始めると途中で止めることはできず、失敗すれば永遠に想いを寄せる男性とは結ばれない、危険なものだと友人は忠告した。


だが女性は躊躇することなく、方法を教えて欲しいと友人に告げた。

女性はどんな内容であろうと、絶対に成功させる自信があった。

逆にどんなことを求められても、必ずやり遂げると心に誓った。


女性は友人にその方法を聞く。


初めに想い人の写真を手に入れ、その写真に自分の想いを3日間寝ずに込め続ける。

次に塩で身を清める。

そして、その塩をお酒で洗い流す。

教わった呪文を唱える。

丑の刻にご神木がある神社へ行く。

ご神木に最初に思いを込めた写真を、釘を使って張り付ける。


女性はここまで何の苦も無くやり遂げた。

そして、最後の条件を見る。


おまじないが終わるまで、相手に自分が好きだということをバレてはいけない。


終わり。















■解説

女性は想いを寄せる男性に対して、ストーカー行為をして見つかっている。

つまり、この最後の条件が当てはまらないため、このおまじないは失敗である。

また、女性の友人はストーカー行為のことを知った上でおまじないを教えているので、失敗することはあらかじめ知っていたことになる。

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