「……人喰」
「そーやで」
ぽつりとつぶやいた私に、今まで黙っていた軽薄そうな髭のおじさんがニヤリと笑った。
「お嬢ちゃんには、人喰ウィルス感染者の疑いがある」
ボールペンの先をこちらに向けた。
「私、隔離されるんですか? ……最悪、殺処分とか……」
せっかく兄も母も死んで自由になれたのに……。
「はっはっは!」
髭のおじさんは頭を搔いて笑い出す。隣のおじさんが睨みつけると、肩をすくめた。
「いやぁ~人・間・相・手・に・そんなことはせんよ~」
気に障るニヤニヤ笑いを浮かべて、彼はこう言った。
「君にはただ、職員になってもらいたい。人喰ヒトクイ管理委員会のな!」