目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

神隠しに遭った少年 24

  夕羅が隣にいない事に、何故かひどく安堵した。しかしその理由を今考える必要はない――歩は緋葉に聞いてみる事にした。まずは、この状況を理解しなければ。




「どういう意味だ?」


「今から話す。夕羅は今ここにはいない。――オレが拒絶してる間は。ごくわずかだが、隙ができる」


「隙?」


「ああ。……オレはもう、どのみちヒトには戻れない。だからお前を助けてやりたい」


「……え?」



 緋葉は寂しそうに笑った。希望すらないその中で。それでもはっきりと告げた、迷いのないその瞳で、真実を。






「オレは神隠しだ」






 これは真実?





 あまりの現実味の無さに歩は、ただ虚ろな目で見つめるだけだった。いや、それだけしかできなかった。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?