キャンプブームが下火になっていると言われていますが、「うるせぇ! キャンプは楽しいんだよ!」というのを全力で伝えてくれる作品です。
ソロキャンパーの主人公が中古のワンポールテントを購入するところから始まる物語。
テントに棲みついて(?)いたのは記憶喪失の自称「幽霊」の少女。
ソロキャンプから二人のキャンプへと移り変わっていく様子が、キャンプ飯や自然豊かな風景とともにじっくりと描かれていくのがたまりません。
ストーリーの方はと言えば、山を流れる渓流のごとく。緩急をつけながらクライマックスに向けて予想もしない流れになっていきます。
物語が進むにつれて明らかになっていく少女の記憶と、動き出すドラマ。ソロキャンプで満足していた、とことん不器用な主人公が見せる大胆な行動には、思わず胸が熱くなりました。
キャンプや自然が好きな人にはもちろんのこと、小説をじっくりと味わいたい人にもおすすめの作品です。