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EC:160  アリアとミカ

*>>第三者視点「アインズ」




「ねぇ。シリウス。最近紫のオーブが出たとか。銀色のオーブが出たとか…。そういううわさをよく聞くのですけど。それってホントなのですか?」



 ここは地球の衛星「月」。そのセカンドコロニーと呼ばれる区域。晴天の青空広がるその真ん中に浮かぶその島々。

 名前は「アインズ」と呼ばれるその場所のとあるギルドホームにて、通称、巫女と飛行師と呼ばれる2人が話していた。


「あー?あれねー!見たって人いるよー?でも信憑性しんぴょうせいがなくてレンとサナタリアが調査に行くってさー」


「あら?もうすでに動いてたのですね」



「最近おいしいとこを全部「リリース」に持っていかれたしさー。我らアインズも目立ちたいんだよー」


「そう言うあなたは珍しく動いていないのですね?」



「僕ー?僕はとりあえず島を増やすのに忙しいからさー。今ここにいるのもMP回復待ちだしーぃ」


「なるほど、そういえば。ダイチさんの計画は上手くいってますか?」



「そっちは順調らしーよ?もうすぐ登録出来そうって言ってたー!」


「順調そうで何よりです」



 2人はそれぞれの知っていることを話していく。彼らも彼らでそれぞれRBGを楽しみながら、新たな発見や革命をり出しているのだ。


 闘技大会で敵対した彼ら「アインズ」だが、普通にプレイヤーとして楽しんでいる。「リリース」のことを敵視しすぎる訳ではなく。程々に張り合い相手として、あるいは目標として彼らもこの時を進めていた。




*>>三人称視点「西部公国」




「何人集まった?」


「3万程っ!。その他同盟ギルドを入れると20万くらいでっす!」



「もう少し欲しいな。このまま人をつのろうか?」


「だな」


「いや〜。たのしみじゃけん早く集まらんかな?」


「焦ったらダメだわぁ〜ん」


 場所は変わって今度は地球を回る衛星。ただし月とは違い人工的に作られた宇宙衛星。そんな衛星のとある区域、セーブ001地区。ここには5人が丸いテーブル(ちゃぶ台)を囲み会議を開いていた。


「それよりぃ〜。紫オーブはゲットしたのぉ〜ん?」


「まだ」


「だな」


「この間取ろうとしたらギリギリ負けてなー。取られたんよー…。じゃけーまだ★」


「まっだー★」



 個性豊かで大変よろしい。がそのうち1人はなぜ幹部がこんな変な奴ばかりなのかと、目尻をみほぐしながら上を向いた。


「そういうミッチャンはゲットしたっ?」


「まだよぉ〜ん!」


 リーダーはまだまだ時間が必要そうだと、1人遠い目をしながら黄昏たそがれていた。








*>>三人称視点「リリース」



「ごめんなさい。お待たせしましたわ」


「いや、うちも今来たとこだぜ?さっそく行こうか」



 こちらは戻ってきて地球。日本地区中央闘技場付近。博物館に朝早くから2人のゲーマーが待ち合わせをしていた。



「それで?何を手伝って欲しいんですの?」


「今、このゲームは長距離移動ができないだろ?」


 ミカとアリアはギルドエリアを歩きながら北西に向かって歩き出す。


 ちなみにギルバードはどこかと言うと、アリアはギルバードと色々試した結果。指輪のような装備アイテムがインベントリーに追加されていたようで…


ーーーー


装備:契約者の指輪


装備部位:両手薬指(譲渡不可、売却不可、盗難防止)

概要:契約者の指輪はそのものとの信頼の証。2人の絆や理解度によって成長していく。



ーーーー



 今までにない装備と判明。とりあえずはギルバートのお家のようなものらしくそこに入ることができるようだ。ひとまず目立つので今は指輪の中にいる。


閑話休題。



 ミカの投げかけた質問。


「そうですわね。結構前から言われてますわよ?」


「それを考えてて思ったんだが、こないだの大規模戦闘システムみたいな。大規模な仕掛けがこのゲームにあるような予感がするんだ…。それを探すのを手伝って欲しい」



「了解しましたわ!おやすい御用ですわよ!」


「と言っても徒労とろうに終わるかもしれないぜ?と言うかそっちの方がはるかに確率高いぜ?」



「ミカちゃんがあると思うならきっとあるのですわ。私はかまいませんわよ?」


「そうか。助かるぜ」


 先日のギルバードの件以来、2人とも互いを知るきっかけができたのが良かったのか。そこそこ仲の良い2人と1匹は、そのまま博物館から北西方向に進んで行くことにした。


「ところで…。どこに向かってるんですの?」


「ん?あぁ、真空リニアのとこ」



「リニア…。闘技場から西に少し離れた所にありましたわね」


「そうそう、そこに向かってるぜ?ユキに聞いてみたら、あそこは爆破して侵入するのが楽だったらしいからな」


 当たり前のように言っているがそんなことするのはユキだけである。


「それ、動く前に破壊してませんこと?」


「勝手に治るから大丈夫だろ?」



「真空管の中でも息はできますの?」


「ユキはできるって言ってたぜ?」



 情報源が全部ユキなのはこの際気にしないことにしたアリアはそのままミカについていく。途中から徒歩から〔飛行〕に切り替え、少ししたらそのリニアにがる建物が見えてきた。所謂いわゆる駅ビルといったところか。


「ここ私はよく迷子になるんですわ…。〔地図〕だけじゃどうしようもないのですわ…」


「うちがわかってるから安心しな」


 そういいながらも〔地図〕をガン見するミカ。ほんとに大丈夫なのだろうか?そんな不安をアリアは思いながらも口からは出さなかった。


「とりあえず、低速リニアよりも高速の路線の方に行くぜ?」


「…了解ですわ」




*





 既に建物に入って数分。たくさんの分岐と地下通路で、もはや自分のいる位置が全く分からないアリアはミカの後ろにピッタリとくっついていた。


「探すなら制御室か?」


 もはや着いて行くことしかできないアリア。

 を後ろに感じながら、当初手分けして探すのを手伝ってもらおう!というミカの考えは既に諦め…

 2人で一緒にどんどん地下を進んでいく。とりあえずミカはアリアのことを話し相手としてあつかうことにした。




*



 それから更に進んで行くが、一向にそれらしきエリアは見えない。もう既に20分ほどさまよっていた。


「こういう施設の制御室ってどこにあるんだろうな?もしかして遠隔リモートか?」


「リニアの駅の中ではここは大きいですわ。たぶん建物内のどこかにはあると思いますわよ?」



「なるほどな」


 訂正、意外と役にたつじゃん。話し相手も悪くない。ミカは1人そう思いながら背中の気配に安堵あんどしていた。




 それから更に数分後、ミカとアリアは目的の部屋にたどり着いたのである。



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