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アルバート様とカルミネ様にお伝え…え?(side:フィレンツォ)




 正直、このお二人にはその話はしたくはありませんでした。

 ですが、ダンテ様がご好意を抱かれているのは確か、そして向こうも──





「ダンテ殿下」

「フィレンツォ、どうしましたか?」

「少しだけ席を外してくださいませんか? その間はクレメンテ殿下やエリア様とお待ちいただいてください」

 ダンテ様は私に疑う事無く頷かれました。

「――分かりました。アルバートさんに、カルミネさんもそれで宜しいでしょうか?」

「は、はい。もちろんです」

「はい、構いません」

 ダンテ様は立ち上がり部屋を出て行かれました。


「──さて、まず、今回の件の前にお二人にご確認したい事が」

「何でしょうか」

「私たちに?」

「ええ、貴方方二人は──」


「ダンテ殿下に一目惚れなされたから、近づこうとなさっていたのですね?」


「「!!??」」


 驚かれるお二人に私は告げます。


「ダンテ殿下は好意に非常に鈍い方です、それでいて、好意を抱いている相手には無自覚に好意を伝える──アプローチじみた好意をしてしまいます」

「それは、エリア様やクレメンテ殿下にもされていますか」

 カルミネ様の言葉に、私は少し驚きます。

「つまり、ダンテ殿下は複数の伴侶を持つ事になる可能性があるという事ですか?」

 カルミネ様は私が言おうとしていた言葉を先におっしゃいました。

「……その通りです」

「ならば、構いません。私とカルミネは、あの日、あの春の日にダンテ殿下に恋をしたのですから」

 アルバート様がおっしゃいました。

「……ならば、宜しいでしょう。では次は今回の件の内情です、関係者は一体誰でしたか?」

「……私達の弟と、叔父達でした」

「他には」

「弟の従者が……」

 私はカルミネ様とアルバート様から情報を全て聞き出しました。

 そして思いました。



──ダンテ様、これは波乱になりますよと──






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